研究課題/領域番号 |
18K09666
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
田邉 憲昌 岩手医科大学, 歯学部, 特任講師 (60433497)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 下顎運動 / CAD/CAM冠 / バーチャル咬合器 |
研究実績の概要 |
従来,咬合器上では咀嚼運動を含めた曲線的な顆頭運動の再現は困難であった.一方,近年になり下顎運動の測定データをクラウン咬合面形態に反映することの出来るシステムが開発され,ヴァーチャル空間での理想的な咬合接触を付与したクラウン製作が可能となった.本研究の目的は,①ヴァーチャル半調節性咬合器による直線的な偏心運動経路を反映したクラウン(Se-Cr),②被験者が実際に行った曲線的な偏心運動経路を反映したクラウン(Ec-Cr),ならびに③咀嚼運動経路を反映したクラウン(Ch-Cr)の咬合面形態を評価し,設定する下顎運動経路の違いが,クラウンの咬合接触に与える影響についてヴァーチャル空間で検証することである. 本研究に同意の得られた男性16名,女性5名を被験者として上下顎の印象採得,下顎運動測定装置を用いて偏心運動,咀嚼運動を測定した.その後,石膏模型を製作し,咬合器に装着した.下顎右側第二大臼歯を被験歯とし,模型上で仮想支台歯形成をした.技工用スキャナーで上下顎歯列をスキャンした後,測定した下顎運動データと模型データを統合した.これらのデータをもとに①咬頭嵌合位での理想的な咬合接触を付与したクラウン(Base-Cr),②Se-Cr,③Ec-Cr,ならびに④Ch-Crを設計した.4種類のクラウンデータはSTLデータとして出力し,画像重ね合わせソフトウェアでベストフィットアルゴリズムによる重ね合わせを行った.Se-Cr,Ec-Cr,Ch-CrそれぞれのSTLデータとBase-CrのSTLデータを重ね合わせ,咬合面形態の垂直的変化量の最大値を測定した.また,Ec-CrとCh-CrのSTLデータを重ね合わせ,下顎運動経路によるクラウン形態の変化を観察した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していたように被験者の研究データを再得することができ、研究成果をある程度まとめることが可能であった。被験者数はまだ十分ではないこともあり、今後さらに増やしていく必要がある
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今後の研究の推進方策 |
偏心運動における半調節性咬合器の直線的な顆路と,生体に近似した曲線的な顆路を用いて製作されるクラウン咬合面形態の間には有意な差がないことが明らかとなった.また,ヴァーチャル半調節性咬合器上での偏心運動を反映させたクラウンと,実際の咀嚼運動を反映させたクラウンを比較すると,咬合面形態に有意な差を認めた.従って,咬合干渉の少ないクラウンを製作するためには,下顎運動経路を十分考慮する必要があることが示唆された. 今後、実際の患者におけるミリングも必要と考えられる.
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次年度使用額が生じた理由 |
購入を予定していた物品が、該当年度に研究の進行状況にやや遅れが出ていたために次年度の購入とするように変更を行った。そのため、次年度使用額が生じている。また、予定していた学会参加も日程の都合で参加できないものもあり、計画と違いが生じている。 次年度については、前年度に購入を予定していた物品の購入を改めて進める予定である。
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