研究課題/領域番号 |
18K09667
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研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
石田 瞭 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (00327933)
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研究分担者 |
川崎 聡大 東北大学, 教育学研究科, 准教授 (00444654)
杉山 哲也 東京歯科大学, 歯学部, 准教授 (50216347)
大久保 真衣 東京歯科大学, 歯学部, 准教授 (60385218)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 脳活動 / NIRS / 咀嚼 / Oxy-Hb / 食物認知 |
研究実績の概要 |
食べる意欲は好みや空腹度合いのほか、匂いや気分など様々な要因で変化し、食事ペース、摂取量を通じて個人の食べ方、栄養状態に影響する。食べる意欲は本人の意思表示があれば明確だが、要介護高齢者に多い認知症では不明瞭で、食事支援を困難とする一因と考える。 本研究は食べる意欲の変化を可視化するために、軽量で装着感が少ない非侵襲的脳血流モニタ近赤外分光法(NIRS)装置を用いて、食事中の脳血流変化測定を検討した。その際、咀嚼はノイズとなり得るため、咀嚼が脳活動へ与える影響を考慮する必要がある。今回は食物画像認知時の脳活動を、咀嚼時と非咀嚼時で比較検討することを目的とした。 空腹状態の健康成人15名に対し、4ch. NIRS(Hb131S, astem社. Japan)を前頭部に装着した上で、モニタに表示される画像を注視させ、Oxy-Hb、Deoxy-Hbの変化を追跡した。測定はブロックデザインを採用し、ガム咀嚼時と非咀嚼時の2回、同日に実験を行った。各Ch.のOxy-Hb値を移動平均処理、加算平均処理し、筋活動によるOxy-Hb変化の影響をDeoxy-Hbにより除去した。安静時脳活動の平均を基準とし、咀嚼時と非咀嚼時でOxy-Hbの変化量に差があるか検討した。 測定の結果、15名中13名の全てのチャンネルで、咀嚼時と非咀嚼時の脳活動に有意な変化を認めた(p≦0.01)。先行研究では、咀嚼時に前頭前野の脳活動が増大するとの報告と、食欲により背外側前頭前野の活動が減少するとの報告が混在する。咀嚼が食欲による脳活動に影響しないならば、咀嚼の有無で画像認知時のOxy-Hbの変化量は同一となることが予想されたが、多くの結果で変化量に有意差を認めた。装置の特性により混入するアーチファクトや、被験者の慣れ、飽きなどの要因も考えられるが、咀嚼が食事にかかわる脳活動に影響を与えている可能性が考えられた。
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