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2019 年度 実施状況報告書

ニケイ酸リチウムガラスに対する高機能表面改質の効果に関する基礎的研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K09670
研究機関神奈川歯科大学

研究代表者

濱野 奈穂  神奈川歯科大学, 大学院歯学研究科, 講師 (30386833)

研究分担者 井野 智  神奈川歯科大学, 大学院歯学研究科, 教授 (80257295)
福山 卓志  神奈川歯科大学, 歯学部, 助教 (10815682)
岩下 英夫  神奈川歯科大学, 歯学部, 助手 (60650851)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードニケイ酸リチウムガラス / レジンコーティング法 / 接着強さ / 接着耐久性 / 表面処理
研究実績の概要

審美性とミニマルインターベンション(MI)の両立を目的として歯科治療に応用されている射出成型用ガラスセラミックス(ニケイ酸リチウムガラス)は、セメントとの一体化が重要視され、歯冠修復・補綴装置の寿命は表面処理法に依存する。そこで、申請者は、ニケイ酸リチウムガラスに対するレジンセメントの最適な接着法を検討すべく以下の研究をおこなった。
当該年度は、ニケイ酸リチウムガラスに対して、従来型・ユニバーサル型シラン処理剤、シリカコーティング(ロカテック法)による各種表面処理法に加え、レジンコーティング法によるレジンセメントとの接着耐久性を調べた。さらなる比較検討のため被着体としてCAD/CAM用ハイブリッドレジンを追加し、初期強度にて効果が認められたレジンコーティング法における接着耐久性を調べた。また、表面粗さ測定機と電子顕微鏡(SEM)により、レジンコーティングの被膜厚さを測定した。さらに、撥水処理・親水処理面の細胞毒性試験も行った。
ニケイ酸リチウムガラスでは、酸性モノマーとシラン処理剤が同一ボトルに含有されたユニバーサル型シラン処理剤は、従来型と比較して長期接着安定性に欠けることが推察された。また、ニケイ酸リチウムガラスに対するシリカコーティングはレジンセメントとの接着耐久性に及ぼす効果は薄いが、レジンコーティング法は、接着耐久性の向上に有効であることが示唆された。CAD/CAM用ハイブリッドレジンへのレジンコーティングは、サーマル負荷試験後も初期強度と同等の接着強さが得られた。レジンコーティングの被膜厚さの測定より、適合精度に影響を及ぼすことはなくCAD/CAMハイブリッドレジン冠の接着強度向上に有効であることが示唆された。また、親水・撥水コート材を塗布した床用レジンの細胞毒性試験より細胞毒性は無いと考えられ、コート材の歯科材料への応用も視野に入れることができると推察できた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度は、ニケイ酸リチウムガラスに対して、レジンコーティング法を含む各種表面処理法によるレジンセメントとの初期強度を測定し、さらに、SEMを用いた表面解析を行うのが主目的であった。
ニケイ酸リチウムガラスでは、シラン処理の違いによる有意差は認められず、酸性モノマーとシラン処理剤を同一液内に含有しているユニバーサル型シラン処理剤は、安定した表面処理が可能であることが推察された。また、シリカコーティングとレジンコーティングを併用した群は接着強さが最も高かった。表面解析(SEM・AFM観察)の結果から、ニケイ酸リチウムガラスでは、トリボケミカルシリカコーティングにより形成された泡沫状構造がレジンコーティングのぬれ性を向上させ、接着強さを有意に向上させたと推察された。CAD/CAM用ハイブリッドレジンでは、レジンコーティング法により有意に接着強さが向上することが示唆された。
当該年度は、ニケイ酸リチウムガラスに対して、レジンコーティング法を含む各種表面処理法によるレジンセメントとの接着耐久性を比較検討するのが主目的であった。
ニケイ酸リチウムガラスでは、ユニバーサル型シラン処理剤は従来型と比較して長期接着安定性に欠けると推察された。また、ニケイ酸リチウムガラスに対するシリカコーティングはレジンセメントとの接着耐久性に及ぼす効果は薄いが、レジンコーティング法は接着耐久性の向上に有効であることが示唆された。加えて、CAD/CAM用ハイブリッドレジンとレジンセメントとの初期強度に有効であったレジンコーティング法の接着耐久性も確認できた。さらに、表面粗さ測定とSEM観察からレジンコーティングの被膜厚さを測定・観察し、適合精度に影響を及ぼすことはなくCAD/CAMハイブリッドレジン冠の接着強度向上に有効であることも確認できたことから、概ね順調に進展していると考えられる。

今後の研究の推進方策

初年度は、ニケイ酸リチウムガラスに対して、レジンコーティング法を含む各種表面処理法によるレジンセメントとの初期強度を測定し、当該年度は、口腔内環境を模した接着耐久性を比較検討するのが主目的であった。さらに、SEMを用いた表面解析や処理面の厚み測定などの考察を加えた。今後は、これらの初期強度・接着耐久性を合わせたデータの解析および評価と論文執筆を行っていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

当該年度に計画していた物品を購入せずに施行が可能であったことから、使用予定金額と実際の使用金額に差額が生じた。
当該年度の繰越金と次年度経費に関しては、主に、論文執筆あたる翻訳・英文校正、論文投稿に使用する予定である。また、必要に応じて追加実験を行う場合には、それに関する物品費に使用する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2020 2019

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] CAD/CAM用ハイブリッドレジンへのレジンコーティングがセメントとの接着に及ぼす影響2020

    • 著者名/発表者名
      岩下英夫,福山卓志,濵野奈穂,相馬直樹,大川公子,山本ゆりか,井野 智
    • 学会等名
      令和元年度公益社団法人日本補綴歯科学会西関東支部学術大会
  • [学会発表] ガラスセラミックスへの各種表面処理法がレジンセメントとの接着耐久性に及ぼす影響2019

    • 著者名/発表者名
      福山卓志,濵野奈穂,岩下英夫,井野 智
    • 学会等名
      公益社団法人日本補綴歯科学会第128回学術大会
  • [学会発表] CAD/CAM用ハイブリッドレジンへの各種表面処理法がレジンセメントとの接着耐久性に及ぼす影響2019

    • 著者名/発表者名
      福山卓志, 濵野奈穂, 岩下英夫,辻村有哉,中尾 伸,相馬直樹,山本ゆりか,井野 智
    • 学会等名
      第38回日本接着歯学会学術大会

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公開日: 2021-01-27  

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