研究課題/領域番号 |
18K09676
|
研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
小奈 正弘 東京医科歯科大学, 歯学部, 非常勤講師 (70507772)
|
研究分担者 |
村上 奈津子 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (80706995)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 熱応力 / セラミック / 有限要素解析 |
研究実績の概要 |
口腔内の歯冠修復材料は,常に熱変化の刺激にさらされている.近年オールセラッククラウンの普及伴い,高強度のセラミックスが多く開発されているが,セラミックスクラウンの熱膨張係数は歯質よりも低く,また長期的予後について評価が確立されているメタルクラウンは歯質よりも熱膨張係数が高い.つまり,歯質の熱膨張係数と比較して,メタルとセラミックスではそれぞれ大小異なる熱膨張係数を有することより,修復材料と歯質との接着界面に発生する熱応力の挙動が全く異なる事が予想される.さらに界面破壊および辺縁漏洩による歯髄への影響を左右する危険性がある.各種セラミッククラウンを装着した歯質において,サーマルサイクルによる接着界面への影響を評価し,有限要素解析により,熱刺激がセラミッククラウンと歯牙にどのような影響を及ぼすか,またどのような問題点が生じるかを,応力と歪みで表される力学的側面から明らかにすることを目的とし,さらには,実験モデルに裏付けられた材料別の界面に影響を及ぼす応力値をもとに,一般性のあるリスク予測値として提唱可能か検証する. これまでの解析では,各種熱膨張係数の異なる,金属,コンポジットレジン,長石系セラミックス,二ケイ酸リチウム,ジルコニアのクラウンをレジンセメントで装着した支台歯の3次元モデルを構築した.実際のサーマルサイクルを用いた疲労実験と同様の冷・温の熱変化の刺激を再現した伝熱解析を行うことで,クラウン,セメント層および歯質に生じる応力分布を算出し,比較検討した. さらに,熱解析後に咬合力を想定した荷重を咬合面に付与することで,熱疲労後の荷重がどの程度クラウンの破折,またはセメント層の破壊抵抗性に影響するのかを検討している.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実際の試料とサーマルサイクリングを使用した実証実験におけるセメント層の評価方法に苦慮している.その結果,予備解析として行なっていた有限要素解析においてまざまなパラメータの再検証を行なった.
|
今後の研究の推進方策 |
最終年となるため,引き続き,実際の試料を用いたサーマルサイクルでの実験を中心におこなっていく.また,有限要素解析で得られた結果に関して,論文作成を行う.
|
次年度使用額が生じた理由 |
感染症の拡大により,当初予定していた論文投稿に関わる費や旅費に変更が生じた.またサーマルサイクルでの実証実験が予定よりも遅れていることより,試料に用いる材料の購入や評価に掛かる費用などが来年度も必要となったため.
|