研究課題/領域番号 |
18K09677
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
高橋 英和 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (90175430)
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研究分担者 |
西川 出 大阪工業大学, 工学部, 教授 (90189267)
岩崎 直彦 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (20242216)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 光造形法 / 鋳造用原型 / 適合精度 / DLP |
研究実績の概要 |
本研究の目的は光造形法で製作した鋳造用原型を用いて適合に優れた鋳造体の製作方法を開発することである. 初年度は市販の造形材料を3製品用いてISO 4049に定められた2x2x25mmの棒状の鋳造用原型を製作し,強度評価と寸法評価を行った.棒状重合体は積層方向によって若干の強度の違いと,先端部の再現性に違いが認められたが,寸法精度に大きな違いは認められなかった.また,DLPで製作後の後処理に用いる光重合の際の環境の違い(グリセリン液中,チッソ雰囲気下)についても検討したが,環境の違いによる明らかな差異は認められなかった. 鋳造用原型として強度の違いはあまり重要ではないので,先端部の再現性に注目して楔状形態(プリズム形状)の造形物について,現有のDLPを用いて楔状形態の先端角度の大きさと積層方向の違いによる楔角先端の再現性に及ぼす影響を検討した.先端の角度を大きくすると楔角先端の再現性は向上し,楔角が20度以上で積層方向が並行もしくは垂直であると楔角先端の再現性は優れていた.本成果は,現在Dental Materials Journalで印刷中である. 2018年度に新規購入したコータ方式DLP機器はランプ波長が可視光領域であり,この可視光領域の波長に適した重合収縮の小さな造形材料を現在,開発,検討している. また,市販造形材料を用いてDLPで製作した重合体を鋳造したところ,多くの製品が現在主流の急速加熱に対応できないことが判明した.そこで,原型材料の焼却条件についても検討している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定の棒状形態の試験片の評価は終了し,楔状形態での積層方向の影響についても検討した. 新規購入のコーターシステムーのDLP機器に適する市販モノマーが少なく,試作モノマーを検討しているが,DLP可視光照射器の波長に適した重合触媒の検討に時間を要しているため,試作モノマーがまだ完成していないが,次年度(令和元年)には試作できると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
令和元年は,前年度と引き続きコータ方式DLP機器に適した重合収縮の小さな造形材料を開発,検討する. 前年度の研究成果にのっとり,辺縁部の厚みを確保した形状のクラウン形態の試験片について主に検討する.まず,支台歯模型を現有の光学印象装置を用いてデジタルデータを作成し,現有のCAMソフトウエアにてクラウンを設計する.クラウンの造形プレートでの配置条件,サポートの配置,補助補強線の配置の条件を各種設計する.造形されたクラウンの寸法精度を既存の光学印象装置を用いてSTLデータの比較による現有の適合性評価(GOM inspector)と,支台歯模型との適合を適合試験材による評価を行う. 変形を考慮した原型の設計を行い,この鋳造原型を用いて鋳造体製作を試み,鋳造体の適合性を検討する. 上記研究成果の一部を国内外の関連学会にて発表するとともに論文作成を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度繰越金は物品購入時の端数である79円であり,次年度の物品購入に振り当てる予定である.
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