研究課題
メタルフリー修復に使用される材料は,日常臨床に導入されてからの期間が短いこともあり,材料自体だけでなく,長期予後についてのエビデンスが国の内外を通じて少ないのが現状である.本研究課題ではメタルフリー修復材料の特性を失うことなく,長期間の安定した予後を得ることが可能な表面処理方法を創製できるか,また,その表面処理方法は各種メタルフリー材料にユニバーサルに用いることができるかについて検討を行うことを目的として実験を行った.材料表面は,表面の凹凸構造による影響を排除するために耐水研磨紙で鏡面研磨を行い,その研磨した観察表面に表面処理後の材料表面を走査型電子顕微鏡を用いて表面形態観察を行うとともに,X線解析装置を用いてセラミックス表面の分子構造の検索を行った.濃度を調整したリン酸,フッ化水素酸溶液を塗布後,レーザー照射を行った結果,フッ酸処理では表面に塑像かつ微細な凹凸構造が生じる材料があるものの,リン酸処理では非常に軽微な表面構造の変化が生じた材料があった.表面処理が材料の特性に与える影響を検索するため,材料の曲げ試験による曲げ特性解析を行った.サンドブラスト処理はジルコニアであっても機械的な強度は低下し,その程度は一般的なジルコニアよりも高透過性ジルコニアの方が影響が大きい可能性があった.官能基やスペーサー部分の異なるシランカップリングを用いた接着強さを計測した結果,酸性の接着性モノマーを併用した場合では長鎖のシランカップリングの方が従来から使用されている短鎖のシランカップリング剤よりも接着力が向上する可能性が示唆された.
すべて 2020
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)
Journal of Applied Biomaterials & Functional Materials
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