研究課題/領域番号 |
18K09686
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
渡邊 郁哉 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (00274671)
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研究分担者 |
バラネザハド アリレザ 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (00608870)
尾立 哲郎 長崎大学, 病院(歯学系), 講師 (70513167)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | フェロトーシス / 細胞死 / エラスチン / フェロスタチン |
研究実績の概要 |
1、5、10、25、50、および100uMのエラスチンによって骨芽細胞に人工細胞死が誘発され、25uMのエラスチンは、フェロスタチン効果を調査するために望ましい部分的な細胞死であることが解った。フェロトーシス細胞死の回復に対するフェロスタチン-1の効果を2つの方法で調査した。(1)骨芽細胞MC3T3E1を使用して、フェロトーシス経路を探求した。細胞死を誘発のために25uM エラスチンを細胞培養培地に添加し、同時にフェロスタチン-1も1、2、5、10、20および50uM混合して調製した。骨芽細胞を2、4、6日間培養した結果は、5-20μMのフェロスタチン-1がフェロトーシスの細胞死を阻害し、フェロスタチン-1がエラスチンの細胞死を阻止し、細胞死が停止したことを示した。 (2)25μMエラスチンを含む培地で培養されたMC3T3E1細胞に部分的な細胞死を誘発させ、培地を1、5、10、20、50 uMのフェロスタチン-1を含む新鮮な培地と交換した。その後、細胞死が抑制され、細胞が回復した。細胞は非常に速く増殖し、興味深いことに、フェロスタチン-1は添加後わずか数時間で細胞生存率のドーピングを示した。フェロスタチン-1は、20uMを超えて添加すると逆の効果があり、細胞増殖は停止した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
エラスチンによって誘発されたフェロトーシス(調節された壊死)細胞死がフェロスタチン-1により停止することが見出だされた。 フェロスタチン-1が骨芽細胞の生存率をドープしていることも分かった。
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今後の研究の推進方策 |
フェロスタチン-1は、がん細胞のフェロトーシス経路における細胞死を誘発することがよく知られており、この試薬はMC3T3E1骨芽細胞でも使用され、細胞生存率試験でエラスチン誘発細胞死に影響を与えた。 また、我々はフェロスタチン-1が骨芽細胞の生存率にドーピング効果を持っていることを発見した。 20μMを超えるフェロスタチン-1では悪影響を及ぼし、細胞死を回復することはできなかった。 本年度は骨芽細胞の分化に対するフェロスタチン-1の効果を調査し検証する。フェロスタチン-1の骨形成ドーピング能力は、エラスチンによる細胞死を伴う骨芽細胞,又は伴わない骨芽細胞に1、2、5、10、20、50および100 uMのフェロスタチン-1を添加することによって調べる。 フェロスタチン-1を25uMエラスチン添加培養骨芽細胞に加え、7、14、21日間培養し,分化した細胞のALP活性を調べる。 また、骨結節の形成はアリザリンレッド染色によって調査する。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会の延期に伴い旅費の執行ができなかったため,次年度使用額が生じた。翌年度分として請求した助成金は大部分を実験に使用する物品費に使用する計画である。
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