我々は2025年超高齢化社会を迎えるにあたり、食の大切さ、サルコぺニアのみならずオーラルフレイルに至る実態をさらに知るべきではないかと考え、無歯顎者の食事摂取状況と総義歯との関係、無歯顎患者の心身機能の現状を把握することは重要であると考えた。本研究の目的は健康寿命延伸のために、自身で歯科治療を受診する意思のある元気な高齢者のモチベーションを、下げないためには何が必要かを明らかにし、これからの高齢化社会に貢献すべく歯科医療従事者の在り方を確立することである。 令和2年度は令和元年度に日本大学松戸歯学部倫理審査委員会において承認(承認番号EC19-037号)を得た研究説明書、同意書、を用いて被験者の取り込みを行った。取り込み基準と除外基準は下記のとおりである。 1.取込基準:1)日本大学松戸歯学部付属歯科病院に総義歯作製を希望して来院した無歯顎患者、2)性別:男性・女性、3)年齢:65歳以上(WHOの定めるところの高齢者)、4)本試験の対象として同意を得た患者 2.除外基準:1)自立歩行不可能な患者、2)精神疾患を持つ患者、3)日本語の聞き取りや読みができない患者、4)ペースメーカーなど電子機器、金属を体に装着している患者 令和2年度は、倫理審査委員会の取得が遅れたため、被験者の取り込みがかなり遅れた。さらに、COVID-19の影響により高齢者の被験者が激減し、同意の得られた被験者は統計処理のできる人数には満たない。また、同意の得られた被験者においては検査7項目(①咀嚼チェックガムによる咀嚼能率検査、②食物頻度調査票(FFQ)による食事調査、③現義歯の検査と状態、④現義歯装着時のQOL、ADL、義歯満足度アンケート調査、⑤運動機能:握力検査、⑥体成分分析装置IN BODYによる体組成検査、⑦面接における被験者特性アンケート調査)では7項目すべての項目を取得できた被験者はいなかった。
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