研究実績の概要 |
目的 高強度3Dプリンタ用レジンを臨床応用目的でナノジルコニア分散液配合UV硬化型レジンを開発し,造形精度や理工学的性質に関して実験的検討を行った. 研究内容および結果 1.造形角度による精度に関して:UV硬化型MMAレジンを用いて義歯床の造形を行った.造形角度は義歯床粘膜面をプリンタのステージと平行にした角度を0°とし,315°まで45°ずつ角度を変化した計8条件とした.225°が最も精度が優れていた. 2.修理用常温重合レジンとの接着性:常温重合レジンをUV硬化型レジンに接着させ,ジクロロメタン,シランカップリング処理,未処理の3条件で引張試験を行った.すべての表面処理条件下で流し込みが最も高い接着強さを示し,3DPとミリング間には有意差を認めなかった.既存の表面処理方法は流し込みレジンと比較して明らかに処理効果が低かったことから,CAD/CAMデンチャー材料に適した表面処理方法を考案する必要があると示唆された. 3.ナノジルコニア配合レジンの耐摩耗性に関して:未配合のUV硬化型MMAレジンとナノジルコニアを配合したレジンにて人工歯を製作した.人工歯には1ユニット4本の既成人工歯を使用した.規制人工歯をラボスキャナーでスキャン後,得られたデータより,UV硬化型MMAレジン製人工歯を作成した.本学既設の摩耗試験機を使用して,20,000回まで側方運動を想定した動作で摩耗試験を行った.既成人工歯のデータと摩耗試験後のスキャンデータを重ね合わせ,摩耗量を差分で計測した.その結果,未配合は0.0365mm,ナノジルコニア配合3DPレジンは0.0193mmと約2倍の耐摩耗性を示した.
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