研究課題
本研究では,舌骨動作量とフレキシブル多チャンネル表面電極による筋電図を指標として,パルス磁気刺激装置による刺激が嚥下機能に及ぼす影響を明らかにすることを目的とする.令和2年度は,パルス磁気刺激を利用したヒトを対象とする臨床研究の整備を進めた.具体的には,パルス磁気刺激条件の選定,研究対象者の選定,臨床研究のプロトコルの詳細を検討した.パルス磁気刺激条件は,刺激実施時間を2秒,休息を3秒とし,計10分間の断続的な刺激とした.刺激頻度は,週1-2回とし,その効果を比較することとし,刺激介入の期間を計6週間に設定した.研究対象者には,健康成人や高齢者ではなく,歯科疾患である口腔機能低下症に診断されたものを選定した.口腔機能低下症は,オーラルフレイルを表すとされている病名であり,疫学的な調査から,全身的なフレイルや認知症に関連することが多く報告されている.今回の特色としては,歯科治療終了時においても,口腔機能低下症が改善しなかったものを対象とした点である.これらのものは一般的な歯科治療では改善しなかった頭頸部の機能低下を有していると考えられた.パルス磁気刺激の介入前後の評価項目には,口腔機能低下症に関わる評価項目,反復唾液嚥下テスト,改訂水飲みテストに加えて,嚥下造影検査による舌骨挙上量をパラメータに採用した.嚥下造影検査にて,安静時,水飲み時,食物摂取時の嚥下時の舌骨挙上量を,訓練前後で比較することとした.臨床研究に対する研究計画書を作成し,東北大学病院倫理審査委員会への倫理申請を行い,研究開始の承認が得られた.現在,臨床研究を進めているところである.
すべて 2020
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Advanced Biomedical Engineering
巻: 9 ページ: 10-20
10.14326/abe.9.10