本研究は,口腔内スキャナを応用したダウエルコアを即日製作するための臨床システムの構築を目的とした.初年度はファイバー強化型レジンブロックによるCADCAMダウエルコアシステムによる支台築造システムの臨床フローの構築を模型上で検証し,実現の可能性や問題点の抽出を行った.2年度目は実際に外来で支台築造窩洞形成を行い,口腔内スキャナを用いてスキャンし,技工室のPCにデータを学内LANを使って転送し,実際に技工士がCADソフト上でバーチャルワックスアップを行った.そのSTLデータを技工室のCAM切削機に転送して,レジンブロックを切削加工して,ワンピース構造のダウエルコアを製作した.外来にデリバリーされ,支台歯に適合させるまでの臨床フローを確認した.3年度は,レジンブロックの強化ファイバー繊維の走行をダウエルコア専用に改良する計画であったが,既に市場がジルコニアに移行してしまったためコストと今後の需要見込みから,協力予定であった製造メーカーが無くなり実現できなかったため,ファイバー強化型レジンブロックの改良は断念せざるを得なかった.そこで,ジルコニアブロックでの即日ダウエルコア製作に材料を変更し検討した.口腔内スキャナでは,10mmまでのポスト窩洞をダイレクトにスキャンすることが可能であり,ジルコニアブロックを使用しての即日CADCAMダウエルコアは,即日装着可能であり,経費とチェアタイムを考慮しても十分に臨床応用可能であることが検証できた.最終年度はジルコニアによるダウエルコアの強度と接着性の検証を行った.根管形成バーの#1では切削時に折れてしまう事があったが,#3では問題なく切削加工が可能であった。また,ジルコニアのレジンセメント,グラスアイオノマーの接着性は先行研究の通り問題なく,セメント層の厚みをCADでコントロールできることからも有用であることも確認できた。
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