本年度は,研究計画立案時には予定していなかった延長期間であったため,本年度当初の段階で,計画していた研究はほぼ終了していた.したがって,研究計画の際に予定していたが,Covid-19の蔓延により中断していた口腔内実験のための協力者を募り,実施する予定であった.しかし,本年度も第4波,第5波,第6波の襲来により,度重なる緊急事態宣言,まん延防止等重点措置が発令され,被験者を集めることができず,口腔内実験を行うことができなかった. そこで本年度は,これまでの研究期間を通じておこなってきた模型実験とその後の統計解析により得られた結果に基づいた知見である,上顎無歯顎患者におけるインプラントオーバーデンチャーを設計する際に考慮すべき以下の点(義歯床にて口蓋を被覆すること,義歯床内に鋳造補強構造を埋入すること,インプラントは4本あるいは6本使用し,前歯部から大臼歯部にかけて可能な限りインプラントを広く分布させること,できるかぎりインプラントを連結する,あるいは連結が不可能な場合はロケーターアタッチメントを使用すること,がオーバーデンチャーおよびインプラントの双方に生じる機能時のひずみを抑制する)について,これまでの結果を整理し,内容と再現性を再確認した.また,本研究で得られた結果を,実際の臨床の際に行うためのプロトコールについて検討を行った. そして,上記の内容を国際英文誌への掲載を目指し,論文を作成し投稿した.
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