研究課題/領域番号 |
18K09701
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
松山 美和 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 教授 (30253462)
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研究分担者 |
市川 哲雄 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 教授 (90193432)
吉村 弘 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 教授 (90288845)
松香 芳三 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 教授 (90243477)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 経皮的電気刺激 / 加齢 / 口腔機能低下 / 口腔乾燥 / 安静時唾液 / 嚥下障害 |
研究実績の概要 |
本研究の実施予定症例数は30例であり,令和2年度の期間内に研究参加した対象者数は,同意取得症例数:11例,実施症例数:9例,完了症例数:8例,中止症例数:1例(機材の故障による),未実施症例数:2例であり,有害事象の発生はなかった。 試験完了の8例の結果は以下の通りである。口腔乾燥の改善法のひとつとして,若年者(20代女性)5名と中年者(50代女性)3名に対して顎下腺を標的に経皮的電気刺激を与え,介入前,介入直後,介入10分後の唾液量の変化をロールワッテ法で検証し,さらにアンケートにより主観的変化を調査した。得られたデータはクェード検定,Steel-Dwass法,ウィルコクソンの符号付順位和検定にて統計解析したところ,唾液分泌量の変化のパターンには個人差がみられた。介入前の唾液分泌量は中央値を境界として2群に分かれており,その多量群においては3水準間に有意差が認められた。しかし被験者数が少数であったため,どの水準間に有意差があるかは,明らかにならなかった。 今回の試験では,被験者の電気刺激に対する心理的影響が排除できず,交感神経優位となったと推測され,それが唾液分泌量に影響を及ぼしたと考えられる。将来的に,口腔機能管理法のひとつとしてより効果的な唾液分泌量増加を得るためには,対象者の緊張感や恐怖感,不快感などを軽減させることが必要と考える。 なお,2021年2月16日にモニタリング担当責任者によるモニタリングを受けた。その結果,これまでに実施した当該臨床研究において安全性及び科学的妥当性について問題はない,との見解であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は医療機器の適応外使用を行うため,平成30年4月の臨床研究法施行により「特定臨床研究」に該当すると判断され,認定臨床審査委員会の承認を得て(平成30年3月12日),Japan Registry of Clinical Trialsに平成30年3月20日付で公開された(実施計画番号:jRSTs062180076)。その後,平成31年4月に徳島大学病院長の交代があったため実施計画の変更が必要となり,再度,承認を受けたのは令和元年10月31日であった。以上のように手続き上の問題で,令和元年度にすでに研究の遅れが生じた。 また,本研究で使用する電気的刺激装置(オムロン電気治療器 HV-F320:医療機器認証番号/ 220AGBZX00027000)の専用温熱パッド(HV-DOUSI-CGY,40㎜×40㎜)の改良をオムロン株式会社に相談したが,返事に時間を要した上に協力は得られなかった。その後,産学連携協力企業から探索した相生電子株式会社(徳島県小松島市)の協力を得て,電極パッドの小型化が令和2年3月に完了し,試験開始の準備が整った。 本研究の実施予定症例数は30例であり,令和2年度は最少15例の試験実施を目標としていた。しかし,本研究は唾液を試料とするため,令和2年度は新型コロナウィルス感染拡大の影響を大きく受け,年度内の同意取得症例数は予定の約1/3である11例であった。十分な感染防止策を講じながら試験を実施した症例数は9例であり,そのうちの1例は導子線断線のため中止となり,試験完了症例数は予定の約1/2の8例であった。その後,新型コロナウィルス感染再拡大のため本研究は一時中断しており,COVID-19収束の後に再開予定である。 以上の通り,令和元年度までの遅れを令和2年度中に十分には取り戻すことはできなかった。
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今後の研究の推進方策 |
現在,新型コロナウィルス感染拡大の影響を受け,徳島大学歯学部の感染防止策として,唾液を試料とする研究はすべて一時中断となっている。COVID-19収束後は,本研究は残りの症例数を募集し,試験を再開する予定である。試験完了症例数は8例であるため,15例の試験終了後には有効性評価を実施する予定である。 なお,COVID-19が収束しない場合は,本研究の期間延長も視野に入れている。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究は特定臨床研究として,認定臨床審査委員会の承認を得てJapan Registry of Clinical Trialsに公開され,また試験用電極パッドの改良を完了させ,令和2年度にようやく本格的に試験開始した。当該年度中に最少15例の試験実施を目標としたが,唾液を試料とする本研究は新型コロナウィルス感染拡大の影響を大きく受け,試験完了症例数は予定の約1/2の8例であった。そのため,支払った物品費も予定の約半額であった。 また,情報収集のため国内学会や国際学会の参加を予定していたが,学術学会は軒並み中止もしくはオンライン開催となり,旅費は全く使用しなかった。研究の有効性評価は15例の試験完了後に実施する予定であるが,まだ症例数が達していないため,データ入力などの研究補助員等の人件費の支払いも一切なかった。 次年度以降のCOVID-19収束後,研究を再開し,残りの症例の試験を完了する。そのため,試験に使用する粘着パッドやロールワッテなどの消耗品費が発生し,また,人件費等も生じる予定である。
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