研究課題/領域番号 |
18K09709
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
安部 友佳 昭和大学, 歯学部, 講師 (80614156)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 睡眠時ブラキシズム / iPS細胞 / GABA作動性ニューロン |
研究実績の概要 |
申請者はこれまで睡眠時ブラキシズム(SB)とセロトニン2A(5-HT 2A)受容体遺伝子の一塩基多型(SNP)との関連を報告し,細胞レベルでのSB発症メカニズム解明を目標として,睡眠時ブラキシズム患者および対照者よりiPS細胞を樹立し,5-HT 2A受容体を発現する神経細胞の誘導法を確立に成功している.本研究は,睡眠時ブラキシズム特異的iPS細胞を樹立してGABA作動性ニューロンへ誘導し,in vitroで電気生理学的な表現型の検証を行い,睡眠時ブラキシズム発症の機序解明を目指すものである. 被験者は,先行の睡眠時ブラキシズム研究で登録された被験者で睡眠ポリグラフ検査を既に受けて以前に研究同意を得たSB患者・対照者から募集し,研究の趣旨を説明し同意を得た.被験者の末梢静脈血を採取し,血液試料の一部からゲノムDNAを抽出し,さらにSBリスク因子である5-HT2AのSNP(rs6313)の遺伝子型を解析し,リスクアレル (rs6313, C allele)を有するSB群1名,有しない対照群1名をそれぞれ設定した.被験者の末梢静脈血検体からiPS細胞を樹立し,これらのiPS細胞に対して目的遺伝子のプロモーター領域下流にVenusを挿入して作成したレポーターレンチウイルスを導入した.小分子化合物を用いて行う領域特異的神経誘導法を応用し,GABA作動性ニューロンを含む神経細胞を分化誘導した.レポーターの蛍光強度をフローサイトメトリーにより検出し,また,RT-PCRによりSB・コントロール間での受容体発現量を比較検討した.SB・対照群間でGABA作動性ニューロンの形態,発現量,生理学的な機能等を指標とした表現型の違いを検討するため,神経生理学的評価としてパッチクランプ法を用いるが,対照群サンプルを用いて活動電位発生の確認を行なった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
サンプルより,iPS細胞からニューロンへの誘導が順調に進んでいる.また,誘導したニューロンのパッチクランプ法では,その習得を進めており,概ね安定して電位の測定ができるようになっている.
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今後の研究の推進方策 |
神経生理学的評価のためのパッチクランプ法の習得を進め,Venusの発光で選択したGABA作動性ニューロンの膜電位を測定する.結果から睡眠時ブラキシズム群・対照群間のSB・対照群間でGABA作動性ニューロンの形態,発現量,生理学的な機能等を指標とした表現型の違いを検討していく予定である.また,ニューロンに対しては,アンタゴニストを適用した際の反応性についても検討していく予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
購入予定だった物品のうち,現有の物品で代用可能なものがあり,研究費の節約のために現有の物品を使用したところ,次年度使用額が生じた. これは次年度の神経細胞の解析に用いる予定である.
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