研究課題
研究者は先行研究で睡眠時ブラキシズム(SB)とセロトニン(5-HT)2A受容体遺伝子(HTR2A)の一塩基多型(SNP)との関連を報告し,細胞レベルでのSB発症メカニズム解明を目標として,iPS細胞を樹立し,5-HT 2A受容体を発現する神経細胞の誘導法確立に成功している.本研究は,睡眠時ブラキシズム特異的iPS細胞を樹立してGABA作動性ニューロンへ誘導し,in vitroで電気生理学的な表現型の検証を行い,睡眠時ブラキシズム発症の機序解明を目指すものである.先行研究において,研究の趣旨を説明し同意を得た被験者(リスクアレルを有するSB群・リスクアレルを有しないコントロール群)の,血液サンプルから誘導したiPS細胞を用いた.これらのiPS細胞に対して,小分子化合物を用いて行う領域特異的神経誘導法を応用し,GABA作動性ニューロンを含む神経細胞を分化誘導した.誘導した神経細胞をフローサイトメトリーにより解析・分別し,また,RT-PCRによりHTR2A発現量を検討した.SB・コントロール群間でGABA作動性ニューロンの生理学的な機能等を指標とした表現型の違いを検討するため,まず,Day in vitro(DIV)31-111に渡るコントロール群のCell Lineを対象に,電気生理学的解析を行い,ニューロンの活動電位発生について検討した.その結果,神経細胞の経時的な機能的成熟が見出された.具体的には,活動電位の基電流の増加,活動電位の振幅の増大,活動電位閾値の過分極化,50%再分極時の活動電位持続時間の短縮が認められた.さらに,SB群(n=2)とコントロール群(n=2)のiPS細胞由来神経細胞の比較を行った.その結果,内在性の膜パラメータである活動電位の頻度と半減時間が有意に異なることが明らかになった.
3: やや遅れている
COVID-19パンデミックのため,解析のための研究施設の出入りが困難となり解析が延期になったため,遅れが生じた.
論文作成に向けて,iPS細胞の5-HT 2A受容体発現など,完成度を向上させるための解析データを追加で収集する.その上で,専門学術雑誌に論文としてまとめて報告する.
COVID-19パンデミックのため,解析のための研究施設の出入りが困難となり,解析が延期になったため,遅れが生じた.この次年度使用額については,追加の解析を行うためのiPS細胞の継代や解析のための試薬の他,論文としてデータをまとめるための機器およびソフトウェア,そして英文校正費・論文投稿費に用いる予定である.
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