研究課題/領域番号 |
18K09710
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研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
新谷 明一 日本歯科大学, 生命歯学部, 准教授 (60440054)
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研究分担者 |
白鳥 沙久良 (清水沙久良) 日本歯科大学, 生命歯学部, 助教 (20804074)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 接着強さ / 機械的嵌合力 / CAD/CAM / デジタルデンティストリー / 引抜き試験 / CAD/CAM冠 / 機械加工 / ミリング |
研究実績の概要 |
本研究では、CAD/CAMを用いて製作されたクラウンの内面に対し、アンダーカットとなるような“溝(Micro Retentive Groove、以下MRG)”を施すことで、クラウン脱落を減少さられる加工プログラムの構築を行う。MRGの効果を明らかにするにあたり、平成30年度はCAD/CAMを用いて製作されたレジンクラウン内面に付与されたMRGが接着強さにどのような影響を与えるか、クラウン型試験片と支台歯を模した治具から引抜き引張接着強さの試験を行った。レジンMRGクラウン内面の軸側面に深さ25、50、75、100、125、150µmの MRGと、セメントスペース20、40、60、80、100、120µmとを組み合わせ、全ての条件にて引抜き引張接着強さの計測を行った。また、溝のないセメントスペース20、40、60、80、100、120µmを有するレジンクラウンも製作し、内面にアルミナブラスト処理後、シランカップリング処理を行った条件をコントロールとした。結果から、レジンMRGクラウンのすべてがコントロールと比較して高い接着強さを示し、その中でもセメントスペース40µm,MRG深さ100µmの条件が最も高い値を示した。続いて、結果から得られたレジンにおける最適なMRG深さを使用して、MRG位置と本数の最適化を行った。その結果、コンポジットレジンブロックから製作されたMRGクラウンでは、溝の数が3本以下で、歯冠高径の中央部に加工することが最も効果的であることが示唆された。研究の結果は日本補綴歯科学会第127回学術大会、IADR2018、第37回日本接着歯学会学術大会、日本補綴歯科学会平成30年度東京支部総会・第22回学術大会にて公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度は加工のみで試験片の製作が可能なレジンブロックを中心に研究を進めた。その結果、予定よりも早くレジン系材料での最適値が明らかになった。これは、当初2材料の研究を同時に進めていく計画から、加工時間の短いレジン系材料に集中して試験片製作を進めたことによるものと考えられる。平成31年度では,同様の方法にてジルコニアに対するMRGの最適な深さや数,位置について検討行う所存である。しかしながら,ジルコニアでは加工後に焼成のステップがあり,試験片製作に時間がかかり,昨年ほどのスピードを維持できるか疑問も残る。
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今後の研究の推進方策 |
接着強さに対する最適なレジンMRGクラウンのMRG深さ、付与位置および溝数の影響については明らかとなり、平成31年では同様の調査をジルコニアを用いて行う予定である。また、学会発表にて質問の多かったMRGの付与がクラウン自体の破壊強さを低下させる可能性についても,今後追加研究が必要ではないかと考えられる。つまり、昨年度行ったすべての条件にてクラウンの圧縮破壊試験を行い,その結果を考察することで、臨床的なMRGの価値を考察することができると考える。さらに、適合に与える影響について、同様の試験片を用い、μCTにて非破壊観察を行ううことで、MRGの加工精度や、設計段階で製作されたクラウンSTLデータと試験片を重ね合わすことで、MRGの総合的な精度について調査を行う所存である。
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