研究課題/領域番号 |
18K09724
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
三宅 実 香川大学, 医学部, 教授 (20239370)
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研究分担者 |
山口 一郎 国立保健医療科学院, その他部局等, 上席主任研究官 (50311395)
平田 拓 北海道大学, 情報科学研究科, 教授 (60250958)
大林 由美子 香川大学, 医学部, 准教授 (10284374)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 電子常磁性体共鳴 / 生体計測装置 / 歯エナメル質 / 放射線被曝線量評価 |
研究実績の概要 |
①測定環境からのノイズを軽減するために電磁波シールド、低雑音電源を追加した。夏の環境でも安定した連続測定・動作ができるようにブリッジの冷却能力の向上を図った。アンプ増幅段の容量の増加は計画中であるが、冷却用にファンを追加し、稼働時の温度を下げることができた。 ②紫外線による信号形成:280nm未満の波長のUV-Cでは比較的高率にEPR信号が形成されるが、UVA (400-315nm)、UVB(315-280nm)でも、長時間照射によりL-bandでも検出できる信号が確認された。太陽光を受ける前歯で計測する本装置では補正が必要になる可能性も示唆された。 ③改良EPR装置の評価:2018年10月頃より制御用PCの動作安定性が低下し、測定が不可能になったが、ソフトウエアーやPCメインプログラムを、共同研究機関であるダートマス大学に協力を依頼し改良を行った。さらに電源部の交換を実施し安定した制御PCの動作ができるようになった。ノイズ遮断電源トランスの効果を確認したが、予測されていた程度の改善は認められなかった。供給電源自体の状況を今後分析する予定である。 ④実際の被曝では種々のエネルギーの異なる線源が存在する。そこでエネルギーの異なる線源(60COγ線、X線(60kV,250kv),中性子線)を、抜去歯(智歯)に段階的に照射し、EPR測定を実施した。広島大学原爆放射線医学研究所において、ガンマセルを使用させていただき、標準γ線照射標本作製および放射線線量率がEPR信号に与える影響の評価を行った。現在5Gy照射を833mG/minのものと30mG/minで実施しL-bandでは信号強度に有意な差がないことを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上述の通り、2018年10月頃より、EPR計測装置の制御用PCの動作が不調になり、回復にかなりの時間を要した。そのため当初予定していた、γ線の多段階追加照射による線源別信号強度比較分析が予定より遅れた。しかし、制御用プログラムの更新やPC自体の改良を行うことができ、最終的に安定した計測が実施できるようになった。PC動作用の高精度電源への交換は安定作動への効果が高かった。供給電源の改良による最終的なSN向上は、予測していた効果が得られなかった。ノイズ遮断トランスの効果が不十分であるのかあるいは供給電源自体の質に問題があるのか今後の検討を要する。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画に則って実験を進める計画である。 特に線源別のEPR信号強度の違いや既存信号評価は重要な課題であるため、重点的に実施する予定である。X-bandでの評価についてはいろいろ報告もあるがL-bandでの線量評価に関わる基礎データは少なくさらに追加していく必要がある。 改良を加えた装置を用いて、実際に生体計測を実施し、最終的な計測精度の向上を図る計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
国内学会・国際学会での発表をおこなわなかったこと、また計測装置の増幅アンプの更新を2019年度に行うようになったことで次年度使用額が生じた。 次年度の後半あるいは2020年度にEPR国際学会が開催される予定であるのでその際に使用する計画である。
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