研究実績の概要 |
①エナメル質厚みが信号に与える影響の評価:マイクロCTを用い切端から歯頸部に至るエナメル質の厚みの分布とEPR信号強度の関連を調べ、最終的に0.3mmの厚みの違いが検出信号に約1.3倍程度の影響を与えることを確認した。今後中切歯唇面での測定部位の条件を画一化する必要性が確認された。 ②EPR (Electron Paramagnetic Resonance 電子常磁性体共鳴)分光計を用いた生体内の歯の計測は、診断領域のX線に対して感度が高く、患者や医療従事者の放射線曝露歴を把握できる可能性がある。紫外線による信号形成:280nm以下の波長のUV-Cでは比較的高率にEPR信号が形成されるが、UVA (400-315nm)、UVB(315-280nm)でも、長時間照射によりL-band でも検出可能な信号について実験を行った。実際紫外線の曝露を受ける可能性のある前歯で、L-bandEPR計測値に有意差を与える信号強度でないことを確認した。(Nakai,Y.,et al.2021) ③改良EPR装置の評価:昨年と同様に制御用PCの制御プログラムの改良を実施し動作安定性の向上を図った。ソフトウエアーやPCメインプログラムを、共同研究機関で あるダートマス大学に協力で更新を計画している。③解離性放射線には種々のエネルギーの異なる線源が存在する。そこでエネルギーの異なる線源(60COγ線、X線(60kV,250kv),中性子線)を、 抜去歯(智歯)に 段階的に照射し、EPR測定を実施する計画であったが広島大学原爆放射線医学研究所において、ガンマセル使用ができず、今年度に再度追加照射、分析を計画している。 ④人での口腔内前歯エナメ質からの計測は新型コロナ感染症対策のため計測実施が困難であった。
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