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2019 年度 実施状況報告書

抗癌剤耐性高分化型口腔癌に対するEphA4を標的とした分子生学的メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 18K09729
研究機関琉球大学

研究代表者

仲宗根 敏幸  琉球大学, 医学部附属病院, 講師 (40381214)

研究分担者 金城 貴夫  琉球大学, 医学部, 教授 (30284962)
喜名 振一郎  群馬大学, 大学院医学系研究科, 講師 (40422422)
喜名 美香  群馬大学, 医学部附属病院, 医員 (80578914)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード高分化型腫瘍
研究実績の概要

早期舌癌に対して、術前低用量頻回投与の化学療法の効果を検討した結果、化学療法の効果が顕著であった(組織学的抗腫瘍効果がpathologicalComplete Response:pCR)患者集団においては、外科切除単独症例と比較して、後発転移が抑制されていることが確認された(Kina S, Nakasone T, Kinjo T, Nimura F, Sunagawa N, Arasaki A. Outcomes after up-front surgery and metronomic neoadjuvant chemotherapy with S-1 or UFT for early tongue squamous cell carcinoma. Clin Oral Investig. 2019;23(6))。その過程で、大変興味深いことに、低用量頻回投与の化学療法により高分化型腫瘍においては後発転移が抑制されているものの、低中分化型腫瘍では、後発転移が抑制されていなかった。このことは、高分化型腫瘍における遠隔転移は、リンパ節経由で、低中分化型腫瘍においては、血行転移である可能性を示唆している。そこで、高分化型腫瘍周囲では、腫瘍血管新生を抑制する何等かのメカニズムが生じていると考えられる。我々は、TCGA を使用したデータ解析から口腔癌において受容体型チロシンキナーゼEphA4 が高分化型腫瘍において高発現していることを確認している。さらにEphA4 は、血管新生因子IL-8 の発現を抑制していることを癌細胞株において確認している。これらの結果をふまえて、EphA4 が、高分化型腫瘍周囲における血管新生を負に制御していることが、高分化型腫瘍の抗癌剤耐性の原因ではないかと推察している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

術前低用量頻回投与による化学療法において、抗腫瘍効果が顕著であるレジュメを使用した際には、外科切除単独と比較して、後発転移が抑制されていることを確認し、報告した(Clin Oral Investig. 2019;23(6))。しかしながら、抗癌剤耐性である高分化型腫瘍においては、後発転移が抑制されているものの、抗癌剤感受性のある低中分化型腫瘍においては、後発転移は抑制されていなかった。この現象を解明するうえで、高分化型腫瘍特異的に高発現している受容体型チロシンキナーゼEphA4に注目している。EphA4は血管新生因子IL-8 の発現を抑制しつつ、自らも抗癌剤刺激後、発現が減少することを見出している。また、高分化型口腔癌細胞株において、EphA4 は、抗癌剤とその阻害剤と併用することで、相乗的な細胞死を誘導することから、抗癌剤曝露依存的にチロシンリン酸化することが予測される。現段階で、本研究課題により、論文を既に報告しつつ、また予想外で興味深い結果を得られつつあり、研究全体としてはおおむね順調に進展していると考えている。

今後の研究の推進方策

EphA4 の下流シグナルを、バイオインフォマティクスの手法を用いて解析する。EphA4 はTCGA(The Cancer Genome Atlas) において、RNA-seq のデータベースが公開されており、そのRNA-seq を用いて線形回帰を行っている。その解析結果から、頭頸部腫瘍においてEphA4 が高発現している場合では、腫瘍周囲に制御性T細胞が蓄積し、腫瘍免疫に関わるT細胞や、マクロファージが排除されていることを示唆する結果が得られている。今後は、そのような現象が、実際の臨床検体においても観察されるか、また、そのような腫瘍周囲の環境を惹起するEphA4 のシグナルを解明することを予定している。

次年度使用額が生じた理由

研究分担者の他機関への異動により、システムの再セットアップの時間が必要となっていた。現在は、セットアップを完了し、通常どおりの研究体制を構築できている。そのため、当初予定した実験の遂行が遅れていた。今年度は、生化学実験を駆使して、現段階で生じている仮説の検証を行う予定である。具体的には、受容体型チロシンキナーゼEphA4 が口腔分化型口腔癌細胞において、化学療法後、どのようなシグナルを細胞内に誘導するのかを解明する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Oral health behavior of children and guardians’ beliefs about children’s dental caries in Vientiane, Lao People’s Democratic Republic (Lao PDR)2019

    • 著者名/発表者名
      Phanthavong Somphone、Nonaka Daisuke、Phonaphone Thongsavanh、Kanda Kyoko、Sombouaphan Phouphachanh、Wake Norie、Sayavong Sangvane、Nakasone Toshiyuki、Phongsavath Khampe、Arasaki Akira
    • 雑誌名

      PLOS ONE

      巻: 14 ページ: 1~10

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0211257

    • 査読あり

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公開日: 2021-01-27  

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