研究課題/領域番号 |
18K09730
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
鎌谷 宇明 昭和大学, 歯学部, 准教授 (00315003)
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研究分担者 |
椋代 義樹 昭和大学, 歯学部, 助教 (50325099)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ヒトパピローマウイルス / 口腔癌 / アミノ酸配列 / 免疫組織化学 |
研究実績の概要 |
ヒト乳頭腫ウイルスはパピローマウイルス科に属しており、これまで200種類以上の遺伝子型が存在していることが知られている。その中で、発癌に関わるのは40種類ほどで、その遺伝子型により、口腔、手足、陰部など好発部位や発癌のリスクの程度が異なっている。ヒト乳頭腫ウイルスには、E1、E2、E4、E5、E6、E7、L1、L2と8つのタンパクが存在し、その中でも、E6とE7がこれまでの研究で癌関連遺伝子の制御に強く関わることが報告されている。しかし、これらE6とE7だけで全てのヒト乳頭腫ウイルスによる発癌に関わる事象を説明できるものではなかった。 そこで本研究では、ヒト乳頭腫ウイルスと口腔癌との関連について、主に遺伝子学的ならびにアミノ酸配列について着目して検索した。先ず初めに舌癌の症例において、免疫組織学的にヒト乳頭腫ウイルスのタンパクの一つであるL1が発現していることを確認し、その内容を学会発表ならびに論文発表をした。さらに、8つのヒト乳頭腫ウイルスのタンパクについてアミノ酸配列から系統樹を作成し、ヒト乳頭腫ウイルスを発癌のリスクにより高リスク群の種類と低リスク群の種類とに分けて比較検討した。その結果、ヒト乳頭腫ウイルスのタンパクの中で、一部のタンパクでは発癌のリスクと系統樹のグループ別けとが異なる場合があることを明らかにし、国際学会でその内容を発表した。 以上から、ヒト乳頭腫ウイルスを発癌における高リスク群と低リスク群とに分けた場合に、一部のタンパクにおいてはこの分類で区分することができないため、未知の発癌機構の可能性が示唆された。今後、さらにこの点について深く追求し、ヒト乳頭腫ウイルスによる口腔癌の発癌との関連について研究する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
遺伝子やアミノ酸配列の解析について、その遺伝子の使用頻度、コドンの使用頻度、系統樹作成と順調に進んでいる。また、実際の口腔癌におけるヒト乳頭腫ウイルスの発現について病理組織学的に検討し、それらの内容の一部を国際学会で発表して、査読付きの英文雑誌に報告した。
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今後の研究の推進方策 |
ホルマリン固定、パラフィン包埋の病理組織のブロックを用いた染色やヒト乳頭腫ウイルスの遺伝子の発現や塩基配列を確認し、口腔癌の発癌とヒト乳頭腫ウイルスの種類との関連について明らかにしたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は特にアミノ酸配列の解析に時間と労力を割いた。次年度は、抗体や遺伝子解析のための試薬を用いた実験が多くなり、支出が大きくなる見込みである。
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