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2019 年度 実施状況報告書

光遺伝学的手法をもちいたプロポフォール誘発性アルファ周波数帯律動性応答の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18K09731
研究機関日本大学

研究代表者

小柳 裕子  日本大学, 歯学部, 助教 (20609771)

研究分担者 小林 真之  日本大学, 歯学部, 教授 (00300830)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード島皮質 / 視床後内側腹側核小細胞部 / 視床―皮質路
研究実績の概要

島皮質は味覚ならびに痛覚情報の統合,および体内恒常性の維持に重要な役割を果たしている。島皮質は視床後内側腹側核小細胞部(VPMpc)から多くの入力を受けているが,その入力様式の詳細は不明である。視床―皮質入力様式について明らかにすることで島皮質における感覚情報処理機構を解明することを目的とし,以下の実験結果を得た。
昨年度の結果を踏まえてVPMpcにチャネルロドプシン2(ChR2)を発現したラットを作製した。成体ラットからのスライス標本作製は,通法では抑制性介在ニューロンがほとんど死滅しており記録が難しかったため,文献を参考にしながら種々の方法を試行し,抑制性介在ニューロンからのホールセル記録を行えるようスライス標本作製方法を最適化した。回復期間ののち,島皮質を含む急性脳スライス標本を作製し,島皮質ニューロンからホールセル記録を行った。光刺激にてChR2を発現しているVPMpcニューロンを活性化した際の島皮質ニューロンの発火応答を,島皮質ニューロンの種類ごとに検討した。その結果島皮質において,錐体細胞だけでなく抑制性介在ニューロンであるFast spiking(FS)細胞およびnon-FS細胞からもVPMpcニューロンの発火に呼応した活動電位または光刺激誘発性興奮性シナプス後電流(eEPSCs)が記録できることがわかった。これらの抑制性介在ニューロンに対する興奮性入力が,直接のVPMpcからの入力なのか,それとも島皮質内の錐体細胞を介した入力なのかを検討するために,テトロドトキシンと4APを用いて検討を行ったところ,テトロドトキシン灌流投与により消失したeEPSCsは4AP灌流投与により再度観察され,直接のVPMpcからの入力であることがわかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度は,VPMpcニューロンにChR2を発現したラットの作製に成功し,島皮質錐体細胞においてeEPSCsの記録に成功した。島皮質錐体細胞はVPMpcからの入力に呼応して堅固な律動性応答を示すため,プロポフォール灌流投与を行っても,更なる時間的精細な律動性応答は観察されなかった。このことは当初の仮説に反した結果であったが,早急に実験計画を変更し,本研究計画で作製および記録に成功した動物モデルを利用したVPMpc―島皮質入力の解明を行うこととした。
本年は,スライス標本作製方法の最適化を行い,島皮質抑制性介在ニューロンからのeEPSCs記録を成功させた。その結果,島皮質抑制性介在ニューロンは錐体細胞とともにVPMpcからの興奮性入力を強力に受けていることがわかった。

今後の研究の推進方策

VPMpcからの島皮質への投射は,錐体細胞および抑制性介在ニューロンのどちらにも入力していることが分かった。しかし,その入力バランスについては不明である。そこで次年度は,VPMpc―島皮質入力について,VPMpcニューロンの光刺激に呼応したeEPSCsのキネティクスおよび活動電位の発生数について,錐体細胞と抑制性介在ニューロンで比較を行う。
また,光刺激によるVPMpcニューロン活性化に同期した島皮質抑制性介在ニューロンでの活動電位の律動応答に対するプロポフォール(10 μM)灌流投与の影響について,錐体細胞と比較して検討を行う。

次年度使用額が生じた理由

予定していた北米神経科学会(Chicago, USA)への参加をとりやめたため,残金が生じた。次年度への繰越金は,令和2年度の助成金と合わせて,北米神経科学会(Washington DC, USA)で発表を行うための旅費,解析を効率化するための解析用ラップトップPCの購入費,VPMpc―島皮質入力の島皮質ニューロンサブタイプによる比較実験を行うための消耗品費として使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] プロポフォールによる意識消失時の大脳皮質における神経活動の変化2019

    • 著者名/発表者名
      梶原美絵, 小林真之
    • 学会等名
      第61回歯科基礎医学会学術大会

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公開日: 2021-01-27  

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