研究課題/領域番号 |
18K09739
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
戒田 篤志 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (40632097)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 放射線 / 細胞周期動態 / G2アレスト / Fucci / ケミカルスクリーニング |
研究実績の概要 |
私たちは、これまでにp53が機能しない腫瘍細胞において、放射線照射後にG2アレストが生じる点、この動態が細胞周期可視化システムであるFucciを応用することにより、蛍光イメージングにより検出可能である点に着目し、本学にて有する化合物ライブラリーを用いたイメージングシステムをベースとしたスクリーニングにより、放射線照射後のG2アレスト動態に影響し得る化合物の抽出を試み、G2アレストを短縮または延長し得る十数種類の化合物を同定するに至った(以下、一次候補化合物とする)。2019年度は、フローサイトメトリーや顕微鏡観察により、同定された一次候補化合物のより詳細な検討を行った。その結果、フローサイトメトリーおよび顕微鏡観察においてもスクリーニング同様に放射線照射後のG2アレストが延長させ得る化合物Xが発見された。これまでの実験では、スクリーニング目的にて本学生体材料研究所より提供された化合物を用いていたが、更なる研究展開をしていくために化合物の量が必要であったため、市販されている同化合物を購入し、同様の効果が認められるかの確認を行った。同種の市販化合物を用いても、放射線照射後のG2アレストが遷延することが期待されたが、提供されたものと比較して、顕著なG2アレストの変化は認められなかったため、現在、購入化合物と本学生体材料研究所にて保有していた化合物間で化学的な違いがあるのか否かについて分析を進めているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究実績の概要でも述べた通り、本研究では、スクリーニングからの研究展開のために、市販されている同種化合物を購入するに至ったが、本学生体材料研究所にて提供された化合物と異なる効果を示した。現在、その原因解析のため、当初の計画に比して、研究の進捗が遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
放射線照射後のG2アレストを遷延させ得る化合物Xが薬効を発揮し得る条件(構造、異性体、精製過程等)について明らかにし、条件に合致した化合物を使用し、細胞周期動態に関する更なる検討および細胞生存への影響について解析する。また、X以外の化合物についても放射線照射後の細胞周期動態を修飾し得る候補化合物があるので、それらについても同様に解析を進める予定である。
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