研究課題
75歳以上の口腔癌患者について予後に影響する因子を多施設共同研究で検討した。その結果、治療前のG8とPSが生命予後だけでなく、健康寿命に有意に影響することが明らかとなった。頸部Level IV/Vにリンパ節転移を有する口腔癌について、検討した。Level IV/Vにリンパ節転移を有する症例は、頸部リンパ節転移を認めた患者の9.1%であり、生命予後が不良であり、特に術後のアジュバント療法が有効であることが判明した。口腔癌ハイリスク群の中でもLevel IV/V転移は、さらに強いハイリスク群と考えられた。また、ハイリスク群に対するアジュバント療法は、一般的にCCRTが推奨されているが、本研究者のグループの検討ではRT単独でもCCRTに非劣勢であった。すなわち、アジュバント療法に化学療法の上乗せの効果が得られなかった。UICCのTNM分類のver8が発表され、ver7と大きく変化した。特にDOIの導入は以前に治療した症例の分類に苦慮するものである。可能な限り、2001年以降の症例を再分類し、下顎管分類が口腔癌全体で有用かどうかを検討した。その結果、Ver8の骨髄浸潤を下顎管浸潤に変更した新しいT分類が最も優れていた。そこで、多施設共同研究でさらに症例数を増やして検討を進めている。舌癌の浸潤様式を検討すると、舌半側切除術あるいは亜全摘術を施行した症例の12%に舌下腺浸潤が認められた。これら12%全ての症例で舌下腺にリンパ球浸潤が認められ、舌下腺と固有舌筋の間に存在する脂肪組織が消失していた。固有舌筋と頤舌筋の間の傍舌隙にも脂肪組織が存在するが、固有舌筋の辺縁まで癌細胞の浸潤が認められる場合、脂肪組織が線維性の結合組織に57%で置換されていた。置換線維組織ではα-SMA陽性であった。すなわち、癌周囲の結合組織の存在が重要なカギを握ると考えた。
4: 遅れている
コロナウイスル感染症の影響で、移動ができず、研究に支障がある。資料や組織は大学内に存在するため、電子データとして所有するものだけで検討を行っている。DOIの導入もすべての症例で再検討する必要があるため、研究の遅延の原因となっている。
DOIの導入と下顎管浸潤に関して、多施設共同研究の倫理審査を申請中である。電子データにしているものを整理は一段落できた。足りないものに対して、データ作成行う予定である。現在、傍舌隙浸潤様式をデータの解析からどのように説明すれば、reviewer editorと読者が納得するかを考えて、プレゼン方法を考慮している。説明方法を考え、研究方向を模索する予定である。培養研究は、現時点ストップせざるを得ない。その時間をデータ解析と統計手法の検討やプレゼン方法の検討に充てる予定である。
コロナウイスル感染症のため、移動ができず、研究遂行に支障が出ている。
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