研究実績の概要 |
舌癌切除法の新概念と理論的根拠のあるMinimum Invasive Surgeryの確立するために、222例の舌癌の筋肉内浸潤解析の結果。内外舌筋と間質で構成される舌への癌細胞の浸潤は、筋肉を足場に浸潤することは希で、癌細胞周囲に炎症反応を引き起こし、腫瘍周囲間質反応Desmoplasiaが誘導され、その間質を足場に浸潤すると考えられた。この証明のため、αーSMA陽性線維芽細胞の出現と、舌内脂肪組織の欠落を確認した。この反応は、口底側位置する舌下腺浸潤にも必須であり、また傍舌隙への浸潤、さらにおとがい舌筋への浸潤には不可欠であった。 口腔癌治療前のBody Mass Indexと予後について口腔癌 2,023 例を対象とした累積罹患率競合リスク法および Fine-Gray多変量解析で、低体重であることは、口腔癌のハイリスク死亡因子であり、特にリンパ節転移、さらに遠隔転移を起こしやすく、疾患特異的累積死亡に関連すると考えられた。それ故、口腔癌の治療選択、特に術後アジュバント治療法や予防的な頸部郭清の選択に治療前BMIを考慮すべきであると結論を導いた(Nutrition and Cancer, 2023 75(2) p520-31)。 口腔癌切除マージンが近接あるいは陽性の場合、術後放射線療法が有用であると報告されているが、2,145例の口腔癌ではその有用性が証明できなく疑問を呈した。clinical depth of invasionを導入した最新の第8版TNM分類は、7版に比較して、大きくT分類による予後識別(C-index)が改善していた(投稿中)。第1版から採用されている顎骨浸潤癌のT分類をT4と分類する方法について研究代表者は歯肉癌における新下顎管(MC)分類を提唱し、口腔癌全体でもMCT分類が有用であることを証明した(論文作成中)。
|