研究課題/領域番号 |
18K09743
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
森谷 徳文 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (60467751)
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研究分担者 |
滝川 正春 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (20112063)
久保田 聡 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (90221936)
高畠 清文 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (70736537)
星島 光博 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (30736567)
松村 達志 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (70432648)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | CTGF/CCN2 / RUNX2 / tooth formation |
研究実績の概要 |
In vivoでは,鎖骨頭蓋異形成症の患者より抜去した過剰埋伏歯および正常な対象者から便宜抜去した正常萌出小臼歯おけるRUNX2とCTGF/CCN2のタンパク質局在を明らかにし比較解析した.その結果正常萌出小臼歯ではRUNX2とCTGF/CCN2は象牙芽細胞および歯髄細胞に発現が認められた.一方で鎖骨頭蓋異形成症の埋伏過剰歯では, RUNX2は象牙芽細胞に,CTGF/CCN2は象牙芽細胞と象牙前室に発現が認められた.このように鎖骨頭蓋異形成症と正常対象者とを比較するとRUNX2とCTGF/CCN2のタンパク質局在に若干の変化が認められた.この結果とRUNX2の遺伝子変異による発現変化によってCCN2のタンパク質発現も変化するという過去の報告から,歯の形成においてCCN2はRUNX2の調節下で歯の形成を調節する因子として働いている可能性が示唆された.これらin vivoの結果と並行してiv vitroでの解析を進め,まず使用予定のヒト骨芽細胞様細胞株Saos-2細胞について,CTGF/CCN2およびRUNX2の遺伝子発現をreal-time PCR法を用いて確認した.次にRUNX2発現をRNAiによるmRNAのknockdownを行ったところ,RNAiに用いるdsRNAにより実験結果に差が生じるが,概ねCTGF/CCN2の発現が抑制されることを示唆する結果が得られた. 次にSaos-2細胞内でDNA transfectionによりRUNX2遺伝子の強制発現を行ったところ,CTGF/CCN2の発現が促進されることを示唆する結果が得られた.これらの結果よりRUNX2がヒト骨芽細胞様細胞株Saos-2細胞においてCTGF/CCN2の発現を正に調整していることが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の拡散により,鎖骨頭蓋異形成症患者のサンプル採取に困難が生じたため,細胞株を使用した実験計画に変更した.しかしながら当初の計画通りに進まず進捗状況に遅れが生じた.
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症の状況にもよるが,抜去歯におけるCTGF/CCN2,RUNX2のmRNA,タンパク質発現量の解析サンプル数を増加させたうえで,抜去歯におけるCTGF/CCN2,RUNX2のmRNA,タンパク質発現量の解析を以下の通りに行う.①健常者およびCCD患者の抜去歯牙よりmRNAおよびタンパク質を抽出しCTGF/CCN2,RUNX2の発現量をreal-time PCR法およびELISA法を用いて解析する. ②健常者とCCD患者を比較し,RUNX2遺伝子変異によるCTGF/CCN2発現量の違いを解析する.③CCD患者サンプル間でRUNX2遺伝子変異部位によるCTGF/CCN2発現量を比較し,最もCTGF/CCN2発現に影響を及ぼすRUNX2の変異の分析(≒機能領域)を推定する. 一方で前年度に行った解析結果に引き続いて以下の通りに解析を行う. ①RUNX2と相互作用してCTGF/CCN2発現の調節をしている新規因子の同定 I:Yeast two-hybrid法にてRUNX2と相互作用している遺伝子を検索し,さらに抽出された遺伝子をin silicoで検索を行って,歯の形成に関わりの深いと推測される遺伝子を候補として絞り込む.II:絞り込んだ遺伝子について前年度にSaos-2細胞を用いて解析した手法と同様の実験を行ってCTGF/CCN2発現を調節している新規因子を同定する.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の研究計画に遅れが生じたことに伴い,使用する予定であった物品数が減少したため,令和2年度の残額が発生した.次年度には,新型コロナウイルス感染症の状況を鑑みたうえで,研究を推進するための物品に予算を使用し,またWEBを使用した国内,海外での調査,発表を積極的に行い,それと並行して論文を投稿するため,などに研究費を使用したいと考えている.
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