研究課題/領域番号 |
18K09746
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
中川 貴之 広島大学, 病院(歯), 助教 (30456230)
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研究分担者 |
福田 直志 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (10804156)
宮本 洋二 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 教授 (20200214)
玉谷 哲也 徳島大学, 病院, 非常勤講師 (30274236) [辞退]
真野 隆充 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 准教授 (80325125)
栗尾 奈愛 徳島大学, 病院, 講師 (80622141)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | スタチン / 薬剤性顎骨壊死 |
研究実績の概要 |
平成31年度はスタチンの骨形成能の評価とラットのBRONJモデル作製を行う計画とした。培養細胞を用いた検討では、プラバスタチンとロスバスタチンを用いてマウス骨芽細胞(MC3T3-E1)の骨細胞への分化能に対する影響を評価した。プラバスタチン、ロスバスタチンのいずれも0~10uMの濃度で培養し、アルカリフォスファターゼ染色とアリザリンレッド染色を行ったが、プラバスタチンでは骨細胞分化誘導とスタチン濃度との相関は見られなかった。さらにロスバスタチンでは骨細胞分化誘導の低下が認められた。この結果は当初申請者らが予想していた、スタチンによる骨形成作用の増大とは相反する結果であり、in vivoの実験を優先し、その検証としてin vitro実験を行う方針とした。そのためゾレドロン酸による顎骨壊死モデルラットを作製した。具体的にはWister系ラット、実験群5匹と対照群5匹にそれぞれZoledronate 100ug/kg/週を皮下投与し、投与後1週間で右側の臼歯の周囲歯肉を4-0絹糸で結紮した(左側は結紮を行わない)。4週後に左右の臼歯を各1本抜歯した。抜歯4週後に骨露出が継続するものをBRONJ発症ラットとし、抜歯4週後に下顎骨を摘出し、BRONJの発症率を測定した。その結果、対照群ではBRONJ発症ラットはいなかったが、実験群で1匹のBRONJ発症ラットを認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
培養細胞の実験で当初われわれが期待していたスタチンの骨形成作用が示されず、むしろ抑制的に働いたことにより、研究計画の見直しを余儀なくされた。その結果、これまで骨形成作用のあるシンバスタチンでの再実験も考慮したが、in vitroの系をすすめ、その検証をin vivo実験で行う方針とした。また今後ゾレドロン酸を添加して増殖能や血管新生因子の検討を行う必要があるため、動物実験ではラットに対する麻酔方法やゾレドロン酸の投与量などの調整に時間を要したことを考慮すると、今後のラットへのスタチンの至適投与量の検討も必要となることが予想されるため、研究計画としては遅れていると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きラットのBRONJモデルの作製を急ぐ。BRONJモデルラットの作製には成功したが、成功率が未だ低く、スタチンのBRONJ予防効果を評価に入るにはBRONJモデルラットの作製実験系の安定が必須である。スタチンはプラバスタチンとロスバスタチンの使用を想定していた が、培養細胞系の実験での結果が予想外であったことを考慮し、過去の報告から有効性の高いシンバスタチンを選択し、投与量は0.5mg~2.0mg/kgに設定する。投与法は栄養チューブ を用いて胃に連日注入する。抜歯4週後に下顎骨を摘出し、BRONJの発症率を測定する。試料は中性緩衝ホルマリンで固定後、脱灰し、パラフィン切片を作製、 病理組織学的に評価する。また、一部の試料はリゴラック樹脂に包埋して、非脱灰切片を作製して、Micro-CTとimage Jを用いて骨の状態を詳細に評価する。対照群には生理食塩液を栄養チューブで投与する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者の所属機関変更があり、一時的な研究遂行の停滞が生じたため次年度使用額が生じた。今後前項にも示した通りBRONJモデルマウスの作製とシンバスタチン投与によるBRONJ予防効果について評価する。
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