研究課題/領域番号 |
18K09751
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
藤田 茂之 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (50228996)
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研究分担者 |
東條 格 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (70405439)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 神経損傷 / 舌神経 / 断端神経腫 |
研究実績の概要 |
我々は、舌神経修復時に切除した断端神経腫をマイクロアレイ解析した結果、損傷のない舌神経の4倍以上の高発現を認めた遺伝子を20種同定した。今回、これらの20種の遺伝子によって翻訳されるタンパク質に特異的な抗体を用いて、切除した断端神経腫の標本組織を免疫組織学的に解析し、予後良好な症例に特異的分布するタンパク質を同定する。同定できたタンパク質を添加し、人為的に切断・再神経吻合を行った家兎(各群3羽)の神経再生に影響があるか確認する。コントロール群として家兎の舌神経を切断・再吻合し食事の摂取量と体重の増減を測定し、術後1カ月と術後3カ月時に創部の組織におけるマイクロアレイ解析で得られたタンパク質の定量と免疫組織学的解析を行う。マイクロアレイ解析によって得られたタンパク質を各タンパク質ごとに(各群3羽)人為的に切断・再神経吻合を行った家兎の神経縫合部位に添加する。コントロール群と同様に食事の摂取量と体重の増減を測定し、術後1カ月と術後3カ月時に創部の組織における各タンパク質の定量と免疫組織学的解析を行い、比較検討する。次に単独のタンパク質だけでなく複数のタンパク質の相互作用・相乗作用の可能性の有無を探索する。予後良好な症例に特異的に分布するタンパク質が複数存在する際に、人為的に切断・再神経吻合を行った家兎の神経縫合部位に複数添加する。添加するタンパク質はすべての掛け合わせを行う。同様に食事の摂取量と体重の増減を測定し、術後1カ月と術後3カ月時に創部の組織における各タンパク質の定量と免疫組織学的解析を行い、比較検討する。各群によって得られた値をもとに、神経再生の程度を比較検討し、神経再生に大きく影響を与える単独のタンパク質または複数のタンパク質を同定し報告する。最善の神経再生誘導法の探索につなげていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
神経修復時に切除した断端神経腫からcDNAマイクロアレイ解析を行った結果、損傷のない舌神経の4倍以上の高発現を認めた遺伝子を20種同定した。これらの20種の遺伝子によって翻訳されるタンパク質に特異的な抗体を用いて、切除した断端神経腫の標本組織を免疫組織学的に解析し、予後良好な症例に特異的分布するタンパク質を同定することに成功した。現在マウスの坐骨神経を用いた神経損傷後・再吻合したモデルで予後の評価中である。現在、術後1カ月後、術後2カ月後での坐骨神経での神経再生の程度を組織学的に評価を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策として、マウスでの坐骨神経の神経損傷後の再吻合モデルでの評価が終了後は、実際に家兎の舌神経を用いて舌神経損傷後の再吻合したモデルで神経再生の程度組織学的評価を行い、食事摂取量・体重の減少量も評価していく予定である。それと併行して、マイクロアレイ解析で特定した予後の良好な症例における特異的に発現したタンパク質をマウスの坐骨神経損傷・再吻合モデルの神経損傷部位に添加し、神経再生の程度を組織学的に評価する。マウスでの神経再生の評価後、同様に家兎の舌神経損傷・再吻合モデルにおいてもタンパク質を添加し、神経再生の程度を食事の摂取量・体重の減少・組織検査し、評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
実際に家兎の舌神経損傷・再吻合モデルの研究の詳細な部分を確立するために、今年度は費用の少ないマウスでの予備実験を行った。次年度では実際に家兎の舌神経損傷・再吻合モデルにおいて、神経再生を誘導するタンパク質を添加し、神経再生の評価を行うため、神経損傷後の再吻合に利用する家兎とリコンビナントタンパク質の購入に費用がかかる予定である。
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