研究課題/領域番号 |
18K09753
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研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
小野寺 晶子 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (90637662)
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研究分担者 |
中村 貴 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (80431948)
齋藤 暁子 東京歯科大学, 歯学部, 助教 (90722835)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 疾患iPS細胞 / 上皮細胞分化 / Golrin症候群 / 歯原性角化嚢胞 |
研究実績の概要 |
ヘッジホッグ(Hh)受容体であるPTCH1の機能喪失変異はGorlin症候群を引き起こし、中でも顎骨内に生じる歯原性角化嚢胞(OKC)は手術後の再発もあり、患者に大きな負担を強いている。しかしながらPTCH1の変異によるGorlin症候群の発症メカニズムの詳細は不明でありOKCの根本的かつ患者負担の小さい治療法も確立されていない。本研究ではこれまでの知見をもとに、樹立したGorlin症候群iPS細胞を用いて、OKC3次元モデルを新たに構築し、OKC発症の分子メカニズムの解明と化合物ライブラリーを用いた有効薬候補のスクリーニングを行う。 これまでに樹立した1症例のiPS細胞からゲノム編集技術を用いてその遺伝子変異を回復させたコントールiPS細胞を作製した。遺伝子編集をしたコントールiPS細胞では遺伝子編集前と同様、未分化性および多能性を確認した。コントロールiPS細胞ではGorlin症候群iPSと比べ変異を有するアリルの発現減少が認められ、Hh経路のターゲット遺伝子であるHHIPおよびGLI1の発現減少が認められた。遺伝子解析では異なる患者から得られたOKC2症例について遺伝子変異の同定が終了しており、嚢胞においても多くの変異が存在することが確認された。引き続き症例数、解析数を増やしていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H30年度に予定していたゲノム編集を用いたコントロールiPS細胞に成功した。現在他のクローンについても遺伝子編集クローンの作成を試みてる。また歯原性角化嚢胞の発症原基であると考えられる基底細胞への分化も並行して行っており、Gorlin症候群iPS細胞から分化した基底細胞ではマーカであるKeratin14,integlinβ4の発現が確認された。この細胞を用いて今後さらに詳細な機能解析を行うことが可能である。
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今後の研究の推進方策 |
遺伝子編集を行ったiPS細胞をコントロール細胞とし、梶原らによって樹立された基底細胞への分化方法を用いる(Stem Cell Reports. 2017;8(6):1701-1713.)。iPS細胞をVitronectin/collagenコートディッシュで播種、keratinocyte-SFM(Gibco)にレチノイン酸、BMP4、を加え4日間培養後、同一培地にEGFを添加し30日培養し上皮細胞を得る。分化の確認には基底細胞分化マーカーであるKeratin14,Integrin4のmRNAおよびタンパクの発現を用いて確認する。Laminin含有Matrigelに懸濁しWnt agonistのR-spondin1を添加し(Sato T et al. Nature, 2009;459(7244):262-5)、in vitroで嚢胞形成する。Matrigelに懸濁した上皮様分化細胞を免疫不全マウス皮下に移植しin vivoで嚢胞形成を検討し、その形態、上皮様構造構成タンパク質発現の違いを検討し、寄与遺伝子変異を同定する。
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