研究課題/領域番号 |
18K09757
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
小松 浩一郎 鶴見大学, 歯学部, 准教授 (60153665)
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研究分担者 |
出野 尚 鶴見大学, 歯学部, 助教 (40435699)
米澤 智洋 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (10433715)
中島 和久 鶴見大学, 歯学部, 講師 (90252692)
江面 陽一 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 准教授 (50333456)
二藤 彰 鶴見大学, 歯学部, 教授 (00240747)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | Annexin a5 / 腱・靱帯骨付着部 / 石灰化 / 石灰化制御因子 / 力学的負荷 / 歯の咬耗 |
研究実績の概要 |
1)Anxa5が腱・靱帯の骨付着部(enthesis)に発現し、筋張力誘導性のenthesis石灰化を負に制御することを示唆した(Shimada et al. JBMR 2018)。2019年度我々は、Anxa5がenthesisにおいて 石灰化制御因子と力学的負荷を調節する可能性を見出し、そのメカニズムを詳細に検討した。TNAPはKOマウスで亢進し、Enpp1、Ankは抑制された。腱細胞を用いて、in vitroでsiRNAによるAnxa5をノックダウン(KD)したところ、TNAP発現が亢進し、Enpp1、Ank発現は抑制された。また、Anxa5-KD腱細胞の培養上清中で、PPiは減少し、Piは増加した。次に、力学的負荷をWT腱細胞に加えたところEnpp1、Ank発現は亢進され、KD腱細胞では力学的負荷による発現亢進が認められなかった。以上からenthesisにおいてAnxa5は、細胞外ピロリン酸と力学的負荷に対する反応の調節により石灰化制御する可能性が示唆された。 2)歯の歯根膜にAnxa5が発現することから、顎口腔硬組織での機能を検討した。KOマウスは生後16週以降で、咬筋付着部石灰化部分の膨隆、上顎臼歯部口蓋部の骨の膨隆が顕著に認められた。更に臼歯エナメル質の咬耗が過大になり、歯根膜の幅も増大した。組織的観察では歯根膜組織内の血管数が増加した。次に、これらの変化は臼歯部咬合の過剰が関与すると仮説を立て、片側の下顎臼歯歯冠を破砕し非咬合状態を作製し、8週後の変化をμCT観察した。反対側対照と比べ、非咬合側の咬筋付着部石灰化領域、臼歯部口蓋部の骨の膨隆、臼歯エナメル質の咬耗、歯根膜の幅が減少した。それらはWTの非咬合側と同程度になっていた。以上から、Anxa5は顎口腔硬組織において咬合力誘導性の骨増大、歯根膜拡大、エナメル質の咬耗を抑制的に制御する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1.リコンビナントタンパク質によるレスキュー実験の計画を立てたが、実行に至らなかった。
2.腱・靱帯骨付着部の形成と石灰化への力学的負荷の関与については、上の実施状況に既述した様に、かなり進んだ。
3.うつ病様行動や運動制御機能の異常があることから、中枢にも原因があるという仮説を立てている:この中で、腱・靱帯骨付着部の過剰な石灰化に起因する痛みによる脳組織での活性化の免疫組織学的検討を計画したが、実行まで及ばなかった。
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今後の研究の推進方策 |
1.リコンビナントタンパク質によるレスキュー実験:脳室内投与と皮下投与後のタンパクの分布と効果(ロタロッド試験による判定)について解析する。 2.既にenthesisにおいてAnxa5は、細胞外ピロリン酸とmechanical loadingに対する反応の調節により石灰化を制御する可能性がin vitro で検討したので、in vivo で腱組織切除した脛骨enthesisについて検討する。 3.うつ病様行動や運動制御機能の異常があることから、中枢にも原因があるという仮説を立てている: この中で、腱・靱帯骨付着部の過剰な石灰化に起因する痛みによる脳組織での活性化を免疫組織学的に検討する。 4.次年度末に研究成果発表を目的として論文を作成し、投稿する。
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次年度使用額が生じた理由 |
236円と僅かな額については、使用計画に正確性が少し不足したことによる。
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