本研究では、破骨細胞分化が全身性に障害されたc-fos遺伝子欠損マウスと、破骨細胞の形成を抑制するサイトカインであるOPGを投与することで局所的に破骨細胞分化が抑制されたマウス、そして正常に破骨細胞分化が起こる野生型マウスを用いて、頭頂骨に作製した規格化骨欠損の修復過程を比較検討することにより、骨修復における破骨細胞の役割を解明することを目的とする。しかしながら、c-fos遺伝子欠損マウスはヘテロ同士の交配後に仔のgenotypingを行い、ホモのノックアウトマウスだけを実験用として選出し、頭頂骨規格化骨欠損を作製する予定であったが、-/-の個体の出現率が低く、必要数を確保することができないため、野生型マウスを用いた実験を先行させた。 当該年度は、野生型マウスの頭頂骨に規格化骨欠損を作製後4週 8週 12週で摘出して固定した試料のマイクロCT撮影を行い、修復骨量を三次元的に算出し、治癒過程を検討した。マイクロCT解析に用いた試料は、10%EDTAを用いて脱灰後、パラフィン包埋して組織学的解析用サンプルとした。さらに、頭頂骨に規格化骨欠損を作製後8週で、骨欠損修復部位のトータルRNAを抽出した。現在、リアルタイムPCR法を用いて、骨芽細胞のマーカー分子であるオステオカルシンとRunx2、破骨細胞のマーカー分子であるTRAPとカテプシンKのmRNAの定量解析を行っている。
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