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2019 年度 実施状況報告書

変形性顎関節症の新規治療法の開発を目指したLubricinの発現調節機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18K09769
研究機関徳島大学

研究代表者

栗尾 奈愛  徳島大学, 病院, 講師 (80622141)

研究分担者 福田 直志  徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (10804156)
宮本 洋二  徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 教授 (20200214)
中川 貴之  徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (30456230)
高丸 菜都美  徳島大学, 病院, 助教 (40513031)
大江 剛  徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 徳島大学専門研究員 (60432762)
真野 隆充  徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 准教授 (80325125)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードPRG4 / tgfb / TMJ-OA / p38 / ERK
研究実績の概要

変形性顎関節症(TMJ-OA)は顎関節を構成する骨軟骨の破壊を特徴とし、関節痛や開口障害により患者のQOLを低下させる。これまで変形した関節を修復させる 根本的治療法は確立されておらず新規治療法の開発が望まれるが病態が不明であることが多く発症機序の解明が必要である。Lubricinは滑液中に含まれるプロテオグリカンでPRG4遺伝子によってコードされる。軟骨面の摩擦抵抗を軽減し、軟骨を保護している。四肢関節ではTGF-βが Lubricinの発現に重要であり、本研究では顎関節のLubricin産生におけるTGFの役割と分子調節機構の解析を目的とした。これにより、TMJ-OAの発 症機序の一因を明らかとし、予防法や新規治療法の確立を模索する。 平成31年度は引き続き、PRG4プロモーターの制御下において蛍光mCherryを発現するレポーターマウスの顎関節から単離した細胞を用いて各種の実験を行った。PRG4遺伝子発現にはTGF-β1によりリン酸化されたSMAD2/3が重要であることを示したが, 平成31年度はSMADシグナルだけでなく, p38やERKなどのnon-canonical経路もまたPRG4遺伝子の発現に重要であることを発見した. 現在はPRG4遺伝子の発現にSMADシグナルとnon-canonicalシグナルがどのようなクロストークを示すのか検討中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

令和元年度も引き続き, PRG4プロモーターの制御下において蛍光mCherryタンパクを発現するPRG4レポーターマウスの顎関節から酵素処理により単離した細胞を用いて各種の実験を行った。単離後の細胞を種々の濃度のTGF-β1で処理した際のLubricinの発現量の違いをreal-time PCR、RT-PCRで確認を行った。関節の最表層から単離された細胞のみがTGF-β1刺激によってLubricinの遺伝子発現の促進が認められた。それよりも下層の細胞ではLubricinの遺伝子発現は認められなかった。またLubricinの遺伝子発現にはTGF-β1によりリン酸化されたSMAD2/3が重要な役割をになっており、これらの阻害剤を用いることによりLubricinの遺伝子発現を抑制することをウェスタンブロットにて確認した。さらにPRG4レポーターマウスから下顎頭軟骨を摘出し器官培養を行いTGF-β1で処理してin vivoでのPRG4の発現を検討。その結果、PRG4遺伝子の発現はin vitroの実験と同様に顎関節の最表層でのみ発現が認められ、TGF-β1刺激によりPRG4遺伝子の発現が促進された。またALK5, SMAD2/3の阻害薬で処理することによりPRG4の遺伝子発現は完全に抑制されたことからTGF-β1によるPRG4遺伝子発現はALK5を介したSMAD2/3シグナルが 重要な働きを担うことが確認された。さらにPRG4遺伝子の発現はTGF-βのcanonical経路のみならず, non-canonical経路によっても調節を受けている可能性が示された。またin vivoの実験として PRG4CreERT2マウスとTGF-βR2flox/floxマウスを交配しLubricin産生細胞特異的なCKOマウスを作製し、H-E染色、Safranin-O/Fast Green染色等を用いて 顎関節を形態学的に解析しているが, 表現系が安定していないため, n数を増やして解析を行っている。

今後の研究の推進方策

PRG4CreERT2マウスとTGF-βR2flox/floxマウスを交配しLubricin産生細胞特異的なCKOマウスを作製し、H-E染色、Safranin-O/Fast Green染色等を用いて 顎関節を形態学的に解析を引き続き行っていく。 同マウスの顎関節におけるPRG4遺伝子やLubricinタンパクの発現をin situ hybridization、 免疫組織学的染色を用いて染色 し、TFG-βシグナルの減少がLubricinの発現に影響を与えるか引き続きin vivoで確認する.

次年度使用額が生じた理由

次年度の動物実験を一括して行うこととなり、次年度使用が生じた。次年度請求分と合わせて使用する 予定である。

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公開日: 2021-01-27  

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