研究分担者 |
桑原 義和 東北医科薬科大学, 医学部, 准教授 (00392225)
佐藤 友昭 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (10284887)
並河 英紀 山形大学, 理学部, 教授 (30372262)
西谷 佳浩 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (60325123)
富田 和男 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 講師 (60347094)
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研究実績の概要 |
本年度は、ヒト子宮頸がん及び舌がん細胞株由来の親株とミトコンドリアDNAを欠失したρ0細胞を用いて解析を行い、以下の結果が得られた。 1)細胞膜に存在し、水及び過酸化水素(H2O2)を透過するアクアポリン(AQP)3, 5, 8についてタンパク質発現量を解析したところ、親株に比べ、ρ0細胞ではその発現が亢進していた。siRNAを用いてAQP3, 5, 8遺伝子のノックダウン(KD)を行ったところ、H2O2処理後の細胞内H2O2流入量が減少し、細胞死も抑制された。 2)H2O2と反応しヒドロキシラジカル(・OH)を生じる要因である細胞内とミトコンドリア(mt)内の2価鉄量を調べたところ、親株に比べ、ρ0細胞では細胞内でもmt内でも2価鉄量が多かった。また、ρ0細胞でH2O2曝露に対する鉄キレート薬効果を検討すると、細胞死が抑制された。さらに、H2O2処理後にアポトーシスマーカーであるAnnexin VとフェロトーシスマーカーであるLiperfluoの染色をρ0細胞で行ったところ、フェロトーシスマーカーのみ亢進していた。 3)mt機能を司るプロヒビチン(PHB)2の発現を調べたところ、親株に比べ、ρ0細胞ではその発現が減少していた。siRNAを用いて親株でPHB2をKDすると、AQP3, 5, 8の発現が亢進した。mt機能を回復させるために、ρ0細胞に正常繊維芽細胞由来のmtを移植するとAQP3, 5, 8の発現は低下、細胞内とmt内の2価鉄量は減少し、H2O2処理後の細胞死が抑制された。 これらのことから、mtが障害を受けると、PHB2発現が減少することによりAQP発現が増加し、H2O2の細胞内流入量が増大すること、さらに細胞内とmt内の2価鉄量も増大することから、より多くの・OHが細胞内で生成され、その結果、脂質の過酸化が亢進することによりH2O2感受性になる事が示された。
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