研究課題/領域番号 |
18K09784
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
倉林 亨 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (60178093)
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研究分担者 |
坂本 潤一郎 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (40506896)
中村 伸 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (70323699)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | MRI / 咀嚼筋 |
研究実績の概要 |
拡散テンソルMRI (Diffusion Tensor Imaging, DTI)は、生体内水分子の拡散の異方性を解析するMRIの手法である。神経や筋ではその線維束の方向に沿った異方性拡散が見られることが知られており、DTIを利用して、その線維構造を可視化することも可能である。我々はこれまでDTIを歯科臨床に応用し、下歯槽神経や咀嚼筋の損傷や回復を評価するための新しい画像診断法を開発することを目的として研究を行ってきた。その結果、下歯槽神経繊維を直接描出するとともに、下歯槽神経におけるDTIの各種パラメーター (正常範囲)を明らかにすることに成功し、国際誌にて報告を行った。しかしもう一つの対象である咀嚼筋に対しては、筋繊維の複雑な走行のためにDTIの適用は容易ではなく、有用な結果を得るには至っていなかった。そこで当該年度においては、咬筋を対象としてDTIによる筋繊維の可視化を試みた。研究者自身が被験者となってDTIの 最適化を行い、その妥当性を評価した。得られた結果は以下のとおりであった。 1) DTI撮像法としては、スピンエコー系シングルショットエコープラナー (SS-EPI)法が最も優れていると考えられた。 2) DTIの 撮像パラメータについて実験的に検討し、若干の改善の余地はあるものの、以下の条件によって咬筋筋繊維の描出が可能であることが明らかとなった:TR/TE/TI= 15000/80/250 msec、FOV=230x230mm; matrix 128x128、スライス厚= 1.8mm: gapless、パラレルイメージング (GRAPPA with iPAT factor of 3)、MPG=12軸、b値=0および600s/mm2
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記のように、当該年度は咀嚼筋 (咬筋)に対するDTI撮像法および画像解析法の各パラメータを決定し、これらの手法の臨床応用が十分可能であることを明らかにすることができた。したがって当該年度の目標はおおむね達成できたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
DTIの最適化について更に検討を行う。更に咬筋のみならず他の咀嚼筋も対象として、DTIの各種パラメーターの正常範囲を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
画像解析用のフリーソフトウェアを利用できたため、購入を予定していたいくつかのソフトウエアが購入不要となった。この分の繰越金を用いて、次年度に新たなソフトウエアの購入を計画している。
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