研究実績の概要 |
(1) HPV16 E6/E7発現と癌幹細胞形質との関係:HPV16陽性口腔扁平上皮癌細胞の癌幹細胞形質を明らかにするため、HPV16 E6/E7陽性の口腔扁平上皮癌細胞を用いて検討した。その結果、HPV16 E6/E7陽性口腔扁平上皮癌細胞のスフィアコロニー形成は、E6/E7 siRNA knockdownにより抑制された。さらに、幹細胞マーカーであるOct4, Nanog, ALDH1のmRNA発現も、E6/E7 siRNA knockdownにより有意に減少した。これらの結果から、HPV16陽性口腔扁平上皮癌細胞の幹細胞性の維持には、HPV16 E6/E7の遺伝子発現が重要な役割を有することが示唆された。 (2) HPV16 DNAの存在有無と遺伝子メチル化との関係:HPV16陽性口腔癌では、HPV16陰性口腔癌と比較して、CD44のメチル化陽性例が多いことから、HPV16 DNA がCD44のメチル化に関与している可能性が示唆された (3) HPV16 DNAの存在有無と歯周病原細菌との関係:歯周病治療後のメインテナンスを受けている患者89 例を対象として、ペーパーポイントを用いて採取した歯肉溝浸出液を用いて、HPV16 DNAの検出を行い、HPV16 DNAの陽性率を検討した。その結果、4例(4.5%)の歯周ポケットから、HPV16 DNAが検出され、歯周ポケットにHPV16 DNAが存在することが確認された。さらに、歯周ポケットのHPV16 DNAと歯周病原細菌との関係を検討した結果、HPV16 DNAとTreponema denticolaやFusobacterium nucleatumとの間に有意な関連を認めた。
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