研究課題/領域番号 |
18K09793
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
北村 直也 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 講師 (70351921)
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研究分担者 |
松崎 茂展 高知大学, 医学部, 特任准教授 (00190439)
山本 哲也 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 教授 (00200824)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | バクテリオファージ / ファージ療法 / 薬剤耐性 / メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 / ゲノム解析 |
研究実績の概要 |
【背景】近年、ほとんどの病原細菌種で抗菌薬耐性化が認められ、抗菌薬耐性菌による感染症が世界規模で脅威となっている。抗菌薬を細菌感染症治療に使用できない時代「Post-Antibiotic Era」の到来を阻止するため、抗菌薬の代替療法として、細菌特異的に感染するウイルスであるバクテリオファージ(ファージ)の溶菌活性を利用する細菌感染症制御法、いわゆる「ファージ療法」の開発が種々の細菌において進められている。今回われわれは、抗菌薬耐性が問題となっている黄色ブドウ球菌に感染する新規ファージを分離し、それらのゲノム解析を行ったので、その概要を報告する。【方法】下水処理場汚水の遠心濾液に黄色ブドウ球菌およびTSB培地を加えてファージを増幅し、その上清より単一プラーク法を用いて新規の黄色ブドウ球菌ファージを11種分離した。それらのファージの中から宿主域(黄色ブドウ球菌 30株に対する溶菌率)の広いファージを2種(KSAP7: 93.3%, KSAP11: 100%)選択し、形態を検討するとともにゲノム解析を行った。【結果】形態はいずれもミオウイルス科に属し、KSAP7とKSAP11のゲノムサイズはそれぞれ137,950bp、138,307bpであった。ファージ2種の全ゲノム配列を比較したところ、いずれにおいてもORF10とORF88の2か所で再編が認められ、それらがMembrane protein (ORF10) やTail-related protein (ORF88) を変化させていた。なお、これら2か所の可変領域を有する黄色ブドウ球菌ファージは過去に6種報告されていた。【考察】広宿主域を有する近縁の黄色ブドウ球菌ファージの全ゲノム解析を行った。ゲノム再編によるORFの変化が宿主域に影響を及ぼしている可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
広宿主域を有する近縁の黄色ブドウ球菌ファージ2種(KSAP7: 93.3%, KSAP11: 100%)の全ゲノム解析を行った。ORF10とORF88の2か所でゲノムの再編が認められ、これらの可変領域が黄色ブドウ球菌ファージの宿主域に影響を及ぼしている可能性が示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
薬剤耐性緑膿菌に対して広宿主域を有する緑膿菌ファージのゲノム解析および動物実験
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次年度使用額が生じた理由 |
薬剤耐性緑膿菌に対して広宿主域を有する緑膿菌ファージのゲノム解析、動物実験および研究結果の論文投稿料などに使用予定である。
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