研究課題
申請者らはMIA gene familyであるMIA2が口腔癌のドライバー遺伝子となる可能性を見いだしたが、MIA2に関連したシグナルはいまだに不明である。口腔癌検体、細胞株を用いて検討したところ、がんの好気性解糖に関わるPKMがMIA2関連シグナルとなりうる可能性を見いだした。口腔癌ではHIF-1αを介したPKM1からPKM2へのshiftが高頻度で生じることで腫瘍の進展をもたらす。また、口腔癌環境下ではPKM2によりATP産生、ミトコンドリア活性、乳酸産生、ROSの産生が調節されることが明らかとなった。さらに、解糖系と酸化的リン酸化に依存した環境下では高いエネルギーフローを生じ、腫瘍の成長は早いがアポトーシス細胞数も多く、腫瘍原生やstemnessは低いのに対し、主に解糖系に依存したフローの低いエネルギー代謝では腫瘍原生が高く、stmnessも高いと考えられた。MIA2を標的とした口腔癌代謝療法の可能性が期待される。また、miR-29b-1-5pもMIA2関連miRNAである可能性があり、miR-29b-1-5p高発現例は有意に予後不良であった。In vitroにおいてmiR-29b-1-5pによりEMTが誘導され、その際にmiR-29b-1-5pはMIA2関連シグナルとしてだけでなく、E-cadherinの発現を直接的に制御する可能性が明らかとなった。これらの結果は、MIA2ならびにMIA2関連シグナルを標的として分子治療の可能性を示唆するものである。
2: おおむね順調に進展している
発現解析、機能解析ともにおおむね順調である。
本年度はあらたな関連因子の探索と発現、機能解析を進める予定である。
MIA2関連シグナルの機能解析が思いのほかはかどったため、多めに見積もっていた試薬代が不要となったため。なお残額は本年度以降の解析に用いる予定である。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件)
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