研究課題/領域番号 |
18K09798
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
椋代 義樹 昭和大学, 歯学部, 助教 (50325099)
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研究分担者 |
伊藤 千洋 昭和大学, 歯学部, 助教 (20783062) [辞退]
山田 篤 昭和大学, 歯学部, 講師 (50407558)
代田 達夫 昭和大学, 歯学部, 教授 (60235760)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | TPD52ファミリー / 扁平上皮癌 / mRNA安定性 / 転写後遺伝子発現調節 / TIA-1 / Hypoxia / オートファジー / 口腔癌 |
研究実績の概要 |
研究代表者らはTPD52を口腔扁平上皮癌細胞における新規の分子標的治療因子としての仮説を立て、特に、低酸素条件下における口腔扁平上皮癌細胞のネクローシス・アポトーシスやオートファジーをHIF-1経路に関係して制御する重要なタンパクとしての役割を検索するため、本研究計画を着想するに至った。そこで本研究計画では「低酸素状態の口腔扁平上皮癌細胞におけるTPD52の細胞生存因子としての役割の検索」を目的としてを4年にわたる研究計画を策定し、その結果、以下のことを明らかにした。 ・低酸素に曝露されたヒト口腔扁平上皮癌細胞(SAS細胞、HSC-3細胞、および、HSC-4細胞)では、TPD52遺伝子およびタンパクの亢進がみられたが、ヒト正常角化上皮細胞では見られなかった。また、高浸潤性の扁平上皮癌細胞(SAS細胞)でこの現象が顕著であった。 ・この亢進作用は遺伝子転写活性の上昇によるものではなく、かつ、低酸素誘導因子(HIF)にも依存していなかったが、mRNAの安定性の上昇という転写後遺伝性制御作用によるものであることが明らかになった。また、この作用にはRNA結合タンパクであるT-cell intracytoplasmic antigen(TIA-1)およびTIA-related protein(TIAR)が重要な役割を果たしていた。 ・TPD52は低酸素曝露化の口腔扁平上皮細胞において、オートファジー制御に関与し、細胞生存能を上昇させていた。一方、この条件においては、アポトーシスおよびネクローシスへの関与はほとんど見られなかった。 ・ヌードマウスへのヒト口腔扁平上皮細胞株(SAS細胞)の移植実験において、TPD52ノックダウンはHIF阻害剤の投与と相乗的効果を示し、移植癌細胞の増殖および浸潤を著しく抑制した。
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