• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2019 年度 実施状況報告書

バーニングマウス症候群の発症機序ー性ホルモンとストレス,神経障害性疼痛の関係

研究課題

研究課題/領域番号 18K09801
研究機関日本大学

研究代表者

今村 佳樹  日本大学, 歯学部, 教授 (90176503)

研究分担者 岡田 明子  日本大学, 歯学部, 准教授 (10434078)
篠田 雅路  日本大学, 歯学部, 准教授 (20362238)
篠崎 貴弘  日本大学, 歯学部, 講師 (50339230)
岩田 幸一  日本大学, 歯学部, 教授 (60160115)
野間 昇  日本大学, 歯学部, 准教授 (70386100)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワードバーニングマウス症候群 / Temporal Summation / CPM / 疼痛調節機構
研究実績の概要

国際頭痛分類第3版の診断基準に従い、バーニングマウス症候群と診断した閉経後の女性患者(BMS群)と、年齢を同等にした口腔内に疼痛のない女性の健常者(対照群)を対象として研究を行った。これらの研究対象に対して、口唇に試験刺激として、C線維を特異的に刺激する侵害刺激(表皮内電流刺激)を加え、単回刺激時と10回反復刺激後の疼痛強度(VASスコア)を計測した。この時の10回反復刺激によるVASスコアの増大を時間的加重(TS)として求めた。次に右側手掌に調節刺激として、ペルチェ素子を用いた熱刺激装置で、持続非侵害熱刺激(40度)と持続侵害熱刺激(47度)を加えた。これらBMS群と対照群において、調節刺激(侵害熱刺激、非侵害熱刺激)を加えた時と加えないときで、TSの生じ方の差異を観察した。BMS群と対照群において、口唇の侵害刺激の反復投与は、同様に有意にTSを生じさせた。この時、この2群間におけるTSの起こり方の強さには有意差は認められなかった。次に、手掌に加えた調節刺激による影響については、まず、対照群においては、非侵害熱刺激と侵害熱刺激のいずれにおいてもTSの発生が抑制された。さらに、TSの抑制の強さは、侵害熱刺激時の方が非侵害熱刺激時よりも大きかった。一方、BMS群においては、非侵害熱刺激時のTSの抑制には、対照群との間に有意差は見られなかったが、侵害熱刺激時のTSの抑制は全く観察されず、対照群との間に有意差が認められた。このことより、BMS患者においては、中枢における疼痛調節機構(Conditioned Pain Modulation: CPM)に障害がみられることが明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年次には、BMS患者における中枢の疼痛調節機能を検討する前段階として、健康な男女間における中枢の疼痛調節機能の差異について検討を加え、同一被験者間(男性、女性)において、TSは男女間、観察部位(下口唇、前腕)に関わらず、検査者間に差異は見られないこと、CPMについては、男性におけるCPMは口唇、前腕ともに再現良く観察されたのに対し、女性の被験者における月経周期との関係を反映している可能性を明らかにした。2年目は、これら、女性の月経による影響を排除して、BMS患者の中枢の疼痛調節機能についての検討を行い、BMS患者で中枢の疼痛調節機能が障害されていることを明らかにした。これらの結果は、BMS患者の多くが閉経後の患者であることを考慮すると、結集のホルモンの影響を検討する必要があることを示唆している。ここまでの研究では、当初の計画に示した、BMSの病態の本質(性ホルモン:神経保護ホルモンとの関係)に迫る研究結果が順調に得られているといえる。

今後の研究の推進方策

今後の研究の方向性については、①動物実験における卵巣摘出モデルを使用した、口腔の疼痛感受性の変化ならびに疼痛関連物質の発現状態の観察を行うこと(基礎実験)、②中枢性疼痛調節機能を賦活させる機序を用いて、BMS患者と対照における疼痛強度の変動状況の観察、その際の各種観察項目の変動、機能脳画像(fMRI)を用いた脳活動の変化等を観察する計画にしている。卵巣摘出モデルを用いた動物実験は、すでに着手しており、現在のところ、順調に実験が進んでいる。中枢性疼痛調節機能の観察は、ガム咀嚼時の疼痛変化、各種ホルモンの変動について検討を行っており、こちらも順調にデータが出てきている。fMRIを用いた研究についても、協力研究機関(東京大学医学部放射線学系)においてデータの蓄積中である。こちらについては、施設の使用上の制限から患者数の積み上げに問題があるので、時間をかけて準備しているところである。令和4年春までには成果を出したい。

次年度使用額が生じた理由

本年度は、fMRI研究での被験者が思うように集まらず、これに伴う被験者の研究協力費が抑えられたため、支出が少なかったと考える。現在、新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴い、臨床研究が極めて難しい状況にあり、予定通りに研究を進めることが可能か、見通せないが、令和元年度の繰越金と令和2年度の助成金を合わせて、可及的に予定通り研究を進める予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] A Perspective from Experimental Studies of Burning Mouth Syndrome2020

    • 著者名/発表者名
      Imamura Y, Okada-Ogawa A, Noma N, Shinozaki T, Watanabe K, Kohashi R, Shinoda M, Wada A, Abe O, Iwata K
    • 雑誌名

      J Oral Sci

      巻: 62 ページ: 165-169

    • DOI

      doi.org/10.2334/josnusd.19-0459

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] バーニングマウス症候群2019

    • 著者名/発表者名
      今村佳樹、岡田明子、野間 昇、篠崎貴弘、篠田雅路、岩田幸一
    • 雑誌名

      ペインクリニック

      巻: 40 ページ: 335-347

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2021-01-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi