研究課題/領域番号 |
18K09802
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研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
筒井 友花子 (中野友花子) 日本歯科大学, 生命歯学部, 講師 (20434144)
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研究分担者 |
片桐 恵子 (森本恵子) 日本歯科大学, 生命歯学部, 助教 (80779281) [辞退]
酒井 有沙 日本歯科大学, 生命歯学部, 助教 (40779295)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | デクスメデトミジン / アーティカイン / 歯科用局所麻酔薬 / 炎症性サイトカイン |
研究実績の概要 |
当該研究の目的は、高血圧症、糖尿病、甲状腺機能亢進症などの基礎疾患を有するため、アドレナリンの使用が原則禁忌である患者に対して安心して使用できる歯科用局所麻酔薬を開発することである。 われわれは、アドレナリンの代わりとして、α2受容体作動薬であるデクスメデトミジン(DEX)に注目している。われわれは現在までに、①DEXがアドレナリンと比較して、循環動態に影響を与えず、局所麻酔薬の作用時間を延長させること、②DEXはリドカインとの相乗効果により強力な鎮痛効果を発揮すること、③DEXは歯科用局所麻酔として、世界中で多用されているアーティカインの作用時間も延長させることを報告してきた。しかし、現在までのわれわれの研究はDEXが局所麻酔薬の作用時間を延長させることを行動薬理学的に証明しただけであり、その作用機序などは解明していない。 近年、DEXの抗炎症作用が注目されている。具体的には、DEXはInterleukin-1β(IL-1β)、IL-6、Tumor Neurosis Factor(TNFα)などの炎症性サイトカインの産生を減少させている。炎症性サイトカインは発痛作用を有する事が知られている。これらの報告から、われわれは、DEXが炎症性サイトカインの発現を局所的に減少させることで、局所麻酔薬の鎮痛効果を増強させていると仮定した。そこでわれわれは、リアルタイムPCR法を使用し、外科的侵襲に対する炎症性サイトカインのmRNA発現量がDEXの存在で減少するか検証した。その結果、ラットの口唇歯肉組織に外科的侵襲を与え、増強させたIL-1βのmRNA発現量に対し、DEXを局所投与させるとIL-1βのmRNA発現量が増加しないことを証明した。この結果から、DEXの抗炎症作用が局所麻酔薬の作用時間を延長させるメカニズムの一つとして示唆された。
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