本研究では、生体内における成熟過程を、2光子顕微鏡や各種蛍光プローブを用いた生体イメージングなどの技術を駆使して解析し、体外で再生組織の成熟を実現することを目的に研究を行った。 平成30年度は、イメージング系の確立を行った。GFPマウス骨芽細胞ををカバーガラス上で培養し、C57BL/6J野生型あるいは、Ai14(RCL-tdT)-DとRANK-Cre マウスと掛け合わせたマウス頭蓋骨に作製した骨孔に接着した。マウスを麻酔し、専用の固定具を装着後、2光子励起顕微鏡による観察を行い、体動の影響を排した鮮明な画像を得た。移植細胞のGFPシグナル、骨基質のSHGを検出することで、細胞形態や骨基質線維走行などの観察を行った。 令和元年度は、in vivoにおける再生組織成熟過程の解析を行った。赤色蛍光タンパクで標識した軟骨細胞をカバーガラスに播種し、GFPマウスに移植し、経時的な観察を行った。ホスト由来のGFP陽性細胞が移植後早期より移植した軟骨細胞の近傍に多数出現した。ホスト由来GFP陽性細胞は運動性が高く、移植した軟骨細胞に頻回に接触していた。また、生体内の再生組織成熟過程をin vitroで再現する準備として、赤色蛍光タンパクで標識した軟骨細胞のペレット培養を行い、GFP発現マクロファージを種々の異なる条件で培養した後に共存培養を行った。マクロファージの存在率は、培養条件により大きく異なっていた。また、ペレット培養による基質産生をSHGにより検出可能であった。 令和2年度は、in vitroでの体外成熟系の解析を進め、マクロファージの培養条件により組織成熟が大きく異なることを、2光子励起顕微鏡を用いたイメージングに加え、組織学的評価、遺伝子発現評価などで確認した。これらの検討から、体外成熟系において、軟骨成熟を促進可能なマクロファージの培養条件、ポピュレーションについての知見を得た。
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