研究課題/領域番号 |
18K09813
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
島末 洋 広島大学, 病院(歯), 助教 (40335683)
|
研究分担者 |
飛梅 圭 広島大学, 医系科学研究科(歯), 准教授 (40350037)
東川 晃一郎 広島大学, 病院(歯), 講師 (80363084)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 口腔癌 / EMT / Snail / ZIP / LIV1 |
研究実績の概要 |
ATPを利用しないSLCファミリー亜鉛トランスポーターのZIPファミリー遺伝子発現をRT-PCR法で検索したところ、LIV1と相反する発現様式を示したのはZIP2であった。ZIP2の発現はSnail調節分子Slugの発現と連動し、Slug強制発現細胞OM-1_SlugにおいてZIP2をsiRNA法でノックダウンするとEMTが誘導される。ZIP2についての研究報告はほとんどなく、皮膚上皮における細胞内亜鉛濃度を制御して重層上皮分化を制御している可能性についての報告のみである。フローサイトメトリーにてEMT型癌細胞がLIV1の発現亢進と細胞内亜鉛濃度の低下を示しており、EMT誘導因子であり亜鉛依存型転写因子Snailのと相関性は未だ不明瞭である。恒常的にSlugを発現するOM-1およびOM-1_SlugにおけるZIP2の局在を蛍光免疫細胞染色で確認したところ、ZIP2は細胞膜にその局在を認めた。そして、ZIP2発現細胞のポピュレーションをフローサイトメトリーで検索し、細胞内亜鉛濃度を測定したところ、高い濃度を示し、ZIP2が機能的であることが推察された。 OM-1にSnailおよびSlugを同時強制発現した細胞を今回新たに樹立した。この細胞を解析したところ、ほとんどの安定したEMT表現型を示す。この細胞はZIP2が発現せず、LIV1が発現しており、この細胞におけるSlugはLIV1発現下においてEMT誘導因子として機能していることが推測された。そこでSlugをノックダウンするとEMT表現型細胞が減少したことから、ZIP2が存在するとLIV1が発現しない相互発現抑制作用によるスイッチングによってSlugのEMT誘導因子としての機能が制御されていることが明らかとなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
EMT誘導因子SnailとSlugを過剰発現させた細胞株が安定しており、解析研究が順調に進んだ。
|
今後の研究の推進方策 |
現在、計画した実験項目を順調にこなしており、結果も想定内であるため、このまま本研究を推進する。
|