研究課題
アルテスネートと、5-フルオロウラシル (5-FU)、シスプラチン (CDDP)、ドセタキセル (Doc)または分子標的薬セツキシマブ (Cet)それぞれとの併用処理が、口腔扁平上皮癌細胞HSC2、HSC3、HSC4の増殖に与える影響を検討した所、HSC2では、アルテスネートは5-FU、CDDP、DocまたはCetとの併用によりそれぞれ相加効果が確認されたが、HSC3とHSC4では、アルテスネートはCetとの併用時のみ相加効果を認めた。アルテスネートとCetの併用処理が最も効果的であったため、そのメカニズムを検討したところ、脂質酸化の副産物である4 Hydroxynonenal (4HNE) の発現増強、さらに細胞膜脂質中で脂質のヒドロペルオキシドを減少させるGlutathione Peroxidase 4 (GPX4)の発現低下を認めた。フェロトーシスは、脂質 ROS の蓄積によって惹起され、4HNEが脂質ROSを検出可能なために4HNEの発現増強はフェロトーシスの誘導に関連し、逆にGPX4はフェロトーシスにおいて活性が低下することから、アルテスネートとCetの併用処理により、4HNEの発現増強およびGPX4の発現減弱を介してフェロトーシスが増強された可能性が示唆された。また、担癌ヌードマウスを用いて背部皮下HSC2腫瘍に対してアルテスネート(100mg/kg/日, 7回/週)およびCet (20mg/kg/日, 2回/週)をそれぞれ単独あるいは併用にて3週間腹腔内投与を行ったところ、併用療法により顕著な抗腫瘍効果を認めるとともに、残存腫瘍において4HNEの発現増強およびGPX4の発現減弱が観察された。なお治療期間中、未処理対照も含めた各群間で体重変化に有意差を認めず、皮膚にも明らかな変化は無く、アルテスネートとCetの併用療法の安全性は高いと考えられた。
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