本研究では、心臓移植治療の各ステージにおける口腔細菌の動態(口腔細菌数およびマイクロバイオーム)と合併症の有無を評価し、それらを指標に適切な口腔管理方法を確立することを目的としている。 コロナで外来患者受診が途絶えたりなどがあり、進捗が大幅に遅れたが、最終年度は、補助人工心臓装着中患者、心臓移植後患者で特有の口腔細菌動態を評価するために、同意が得られた患者から唾液を採取した。補助人工心臓装着中患者14人、心臓移植後患者10人から唾液を採取した。前者は全員抗血栓療法中、3人は抗菌薬長期服用中であった。後者は全員免疫抑制剤服用中、9人は抗血栓薬療法中、7人は抗菌薬・ステロイド・BP製剤服用中であった。解析の結果、2群間の多様性に差は認められなかった。主座標分析では補助人工心臓装着期間が長い患者・心移植後日数が短い患者の細菌叢構成が類似している傾向があった。
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