研究課題/領域番号 |
18K09821
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
照光 真 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (60401767)
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研究分担者 |
福田 謙一 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (80228907)
瀬尾 憲司 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40242440)
大塚 有紀子 (須田有紀子) 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員 (30815767)
倉田 行伸 新潟大学, 医歯学系, 助教 (20464018)
吉本 裕代 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (40453287)
金澤 香 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (40453279)
大桶 華子 北海道医療大学, 歯学部, 助教 (90295907)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 三叉神経 / 神経障害性疼痛 / 安静時機能的MRI / MRスペクトロスコピー / Infra-slow oscillation |
研究実績の概要 |
本研究は、口腔顔面領域の神経が障害を受けることによって生じる神経障害疼痛が、慢性化して、脳で痛みを増幅する中枢性感作の機構解明をテーマにしている。その方法としてMRIを用いて、1)口腔顔面の三叉神経の神経MRI、2)安静時の脳の各部位の同期した活動性の検索により、視床と脳部位の機能的連動の計測、3)痛みに関連する脳部位、視床と前帯状回の脳代謝産物をMRスペクトロスコピーで計測して、興奮性ニューロンの活動性を評価しようと試みている。 この背景には、慢性疼痛は脳での痛みに関連した部位が正常とは異なる活動を示すことが考えられる。脳の特定の回路が増強すること、すなわち可塑性の異常な変化が痛みを増幅する中枢性感作が重要な役割を果たしている。三叉神経が伝える体性感覚情報の中継点である視床からは、大脳皮質への神経投射をしている。さらに関連した情報誌処理を行う神経群は同期した神経活動を示すことが知られている。この神経活動の同期は様々な周波数帯で観測することができ、特に0.1Hz以下のInfra-slow oscillationは視床が起源となる同期波とされている。 Infra-slow oscillationは機能的MRIで計測することができる。また、同期の背景にグルタミン酸作動性ニューロンの過剰興奮が推測されることから生体での脳のグルタミン酸などの代謝産物をMRスペクトロスコピーで計測する。 初年度はこれらのデータ取得方法を確立し、口腔顔面領域の慢性の神経障害性疼痛患者のデータ取得を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
三叉神経に障害を持つ患者群で、神経の微細な形態や水分子の拡散性をMRIで可視化及び計測する方法を臨床応用した。これらは臨床で診断や治療方針の策定にほぼルーチンに使用が可能となった。安静時機能的MRIとMRスペクトロスコピーのデータ取得方法の予備実験を行い、MRIの撮像パラメータを決定した。同時に、研究に参加していただく患者群と正常ボランティア群への説明と同意方法や倫理員会の申請と受理が完了した。なお、MRI装置は東京歯科大病院とAIC八重洲クリニックの3.0T装置を用いることとした。 東京歯科大のペイン科に通院する慢性の神経障害性疼痛を有する患者さんでのデータ取得を開始した。
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今後の研究の推進方策 |
上記の患者群での症例を15例程度取得する予定で。さらに、患者群と性別と年齢を合わせた正常被験者群の募集とデータ取得を開始する。 データ解析に関しては、機能的MRIデータはまずは、安静時機能的MRIの先行研究でも広く用いらている方法で行い、必要に応じて解析方法の追加を行う。すでにそのための電算機とツールは準備できている。一方、MRスペクトロピーデータの解析は放射線医学総合研究所の研究員との共同で解析を行い始めている。
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次年度使用額が生じた理由 |
正常被験者群のMRIデータ取得は、AIC八重洲クリニックで本研究費負担が負担してデータ取得を行い、また交通費程度の謝礼を支給するため今後経費が必要となる。
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