研究実績の概要 |
1.昨年度に引き続きtotal 25例の口腔扁平上皮癌患者の生検組織のホルマリン固定パラフィン包埋材料について,抗p53抗体,抗FAS抗体および抗SREBP1抗体を用いた免疫組織化学的検索を行い,その発現強度および局在を確認した.その結果,13例(52%)の腫瘍細胞の核にp53タンパク質の陽性反応を認めた. p53陽性症例全例の腫瘍細胞の細胞質にFASの陽性所見が認められた.さらに13例(52 %)の腫瘍細胞の細胞質にSREBP1発現を認め,全p53陽性症例に一致してSREBP1の陽性所見が認められた. 2.初年度の結果で,Ca9-22細胞においてFASと SREBP遺伝子及びタンパク質の最も多い発現量を示した.SAS細胞においてはいずれの発現も弱かった.このCa9-22細胞にResveratrolを作用させると細胞死に陥ったが,FASの発現には影響しなかった.この際SREBP 1とE-FABPは減少した.この時のCa9-22細胞の細胞死はオートファジー細胞死である可能性を考え,Resveratrolを時間と濃度を変えて作用させた際のオートファジーのマーカーp62, Beclin 1, LC3の発現について検索した.その結果,時間依存的および濃度依存的にp62とBeclin 1の発現量は亢進し,24時間で最大となった.また,LC3-IからLC3-IIへの移行が認められた.さらにオートファジーのインヒビターである3-Methyladenineを作用させることによって細胞死が抑制されたことから,この際の細胞死はアポトーシスではなくオートファジー細胞死である事が確認された.尚,SAS細胞においても同様の実験を行い,同様の結果が得られた.さらにCa9-22細胞においてSREBP 1のノックダウンを行ったところ,E-FABPの発現量が減少した.
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