研究課題
機械的刺激を受容した骨細胞による骨代謝制御に、骨細胞自身のアポトーシスによる骨吸収がある。そのため、機械的刺激が促す骨細胞アポトーシスの分子制御の解析は、未知の骨代謝機序を解明するうえで重要である。神経性因子methionine enkephalin (MENK)は、内因性鎮痛因子として作用するほか、骨代謝制御に関わる。我々は、MENKが骨細胞において発現することを初めて示した。興味深いことに、MENKはアポトーシスの発現に関わる。一方、CCN2/CTGFは、種々の因子と結合することにより多彩な生物学的活性を発揮するが、MENKとの関わりは不明である。本研究において、CCN2/CTGFとの相互作用に着目して、機械的刺激が促す骨細胞のアポトーシスにおけるMENKの役割を明らかにすることとした。本年度は、MENKによるNFATc1核内移行抑制の制御メカニズムの解明を、カルシウムシグナリングに着目して行った。MLO-Y4培養系にMENKを添加することにより、この細胞へのカルシウム流入が、MENKの濃度依存的に抑制された。また、細胞内でカルシウムシグナリングを制御する主要な因子であるcalcineurin AとB、およびcalmodulinの発現を解析した結果、MENKの添加により、MLO-Y4におけるこれらのmRNA発現が有意に低下した。本研究により得られた結果は、MENKによるNFATc1の核内移行阻害が、カルシウムシグナリングの抑制的制御を介することを示唆する。
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