研究課題/領域番号 |
18K09833
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
麻川 由起 (丹根由起) 広島大学, 医系科学研究科(歯), 助教 (50526241)
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研究分担者 |
谷本 幸太郎 広島大学, 医系科学研究科(歯), 教授 (20322240)
國松 亮 広島大学, 病院(歯), 講師 (40580915)
廣瀬 尚人 広島大学, 医系科学研究科(歯), 助教 (50611935)
粟田 哲也 広島大学, 医系科学研究科(歯), 助教 (90758179)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 変形性顎関節症 / Angptl2 |
研究実績の概要 |
本年度では、まずAngptl2が軟骨基質代謝因子発現を上昇させるメカニズムを明らかにするために、CRISPR-dCas9 活性化プラズミドを用いて Angptl2 の活性化を行った後、経時的に蛋白を精製し、NF-kB および MAP キナーゼ(ERK, JNK, p38)活性の変化を Western blot 法にて解析を行った。Angptl2活性化10分後より3つのMAPK全てのリン酸化が亢進し、10分後よりAktのリン酸化が誘導された。さらに、20分以降NF-kBのリン酸化は亢進した。 次に、インテグリンa5B1のAngptl2経路への関与を検討するために、インテグリンa5B1中和抗体による炎症関連因子への影響についてreal-time PCR解析およびwestern blot解析を行った。Integrin a5B1中和抗体添加によって、ANGPTL2活性化後のANGPTL2、 IL-1B、TNF-a、 COX-2、 ADAMTS-5、 MMP-3および MMP-13の遺伝子発現は抑制された。また、Integrin a5B1中和抗体添加によって、ANGPTL2、COX-2、MMP-13のタンパク質発現を抑制することが明らかとなった。さらに、インテグリンa5B1中和抗体によるシグナリング経路への影響を検討したところ、Integrina5B1中和抗体添加により、ANGPTL2添加によって亢進したERK、JNK、Aktのリン酸化は有意に抑制され、p38、NF-kBのリン酸化はわずかに抑制された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Angptl2の発現の軟骨基質代謝因子を亢進するメカニズムをin vitro実験系での解明を行うことができているため、順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究では、6週齢 Wistar系雄性ラットに10日目より、一日一時間 30 mmの強制開口を20 日間行い、TMJ-OA モデルを作製する。これまで、我々の研究室で行ってきた方法であり、TMJ-OAモデルの作製は確立されている。リコンビナントAngptl2を顎関節内に注入し、免疫組織学的に検討を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究を中断している期間があり、研究内容の遅れが生じていた。今年度では、in vitro実験系でのAngptl2のシグナリング経路について解明を行った。研究期間を延長し、次年度では、6週齢 Wistar系雄性ラットでのTMJ-OA モデルを作製する。リコンビナントAngptl2を顎関節内に注入し、免疫組織学的に検討を行う予定であり、ラットの購入費用や動物実験用の薬品や試薬、論文投稿費用に使用する予定である。
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