研究課題/領域番号 |
18K09841
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
川上 正良 奈良県立医科大学, 医学部, 学内講師 (20244717)
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研究分担者 |
和中 明生 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (90210989)
下村 忠弘 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (90645607)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 発生・分化 / 細胞・遺伝子 / シグナル伝達 / 歯学 / 成長・発育 |
研究実績の概要 |
われわれは、これまで顎顔面の形成過程を司る分子シグナル機構を調べてきた。マウスやラットと違い顔面の自然裂を発症せず発生が早く操作性の良いchick embryoを用い、顔面突起組織のRT-PCRを行って遺伝子発現を調べている。昨年までにWNTシグナルを活性化すると顎顔面形成を司る遺伝子Msx-1, Bmp4, Bmp7, fgf-8b, Tbx22, Sox9, Barx1の発現が促進され、逆にWNTシグナルを阻害すると顔面突起内でapoptosisが亢進し、顎顔面突起の成長・発育が減少した結果、上顎の骨欠損を生じ唇顎裂を発症することを明らかにした。顔面の形成は胎生期、顔面突起が前下方に成長し、上顎突起と前頭鼻突起が癒合し上口唇が形成されるが、癒合時epithelial-mesenchyme transition(EMT)が行われる。唇顎裂発症においてはEMTが作用していないのではとの仮説を立て、今年度はEMTに作用する遺伝子シグナル作用について調べた。Dkk-1を用いてWNTシグナルを阻害するとEMTに作用する遺伝子の発現が減少し、唇顎裂を生じることが明らかとなった。したがってWNTシグナルを阻害するとEMTが阻害された結果顔面突起が癒合せず、口唇裂を発症することが示唆された。すなわち口唇裂発症の原因はWNTシグナルをはじめとする顎顔面の形成過程を司る分子シグナル伝達がうまく行われていなかったことが考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、当初の計画通り、WNTのEMTへの作用について調べ、EMTにはWNTシグナルが作用していることが明らかとなった。WNTシグナルを阻害するとEMT阻害が起こることが示された。今後は、WNTシグナルが作用する別のシグナル伝達機構について明らかにする予定である。
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今後の研究の推進方策 |
口唇裂・口蓋裂の発症には、WNTシグナルはじめとする顔面突起の分化・発育を制御する部分子シグナルの欠損が原因であることが示唆された。それではWNTシグナル欠損はなぜ起こるのかを次の「問い」に研究を進めていきたい。すなわち本研究の発育段階よりも前のstageで行われている分子機構について、本研究で用いた方法を元に実験を進めて参りたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染の拡大により海外渡航が禁止され、学会に参加できなかったため旅費が使えなかった。延長申請をしており、2022年度中の国内学会旅費に充当する予定である。
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