研究実績の概要 |
ヒト乳歯から作製した不死化歯根膜細胞SH9を用いて実験を行った。SH9細胞の培養には10%FBSを含むα-MEMを培地として用い, CO2濃度を5%, 37℃の条件で培養し実験に供した。この培養条件をコントロール群とし, SH9細胞を低酸素環境に曝露するためアネロパック-ケンキ5%と専用ジャーを用いてO2濃度を0.1%以下, CO2濃度を5%に設定し, 37℃で24時間培養したものを実験群とした。 SH9細胞を,通常酸素濃度あるいはO2濃度0.1%以下で24時間培養し, 各サンプルから全RNAを抽出してRT-qPCRを行ったところ,IL-6, MIF, TNF-α, OPG, HIF-1αの発現には培養条件による差は認められなかったが, angiogenin,VEGF,RANKL,C/EBPβは低酸素曝露により発現レベルの有意な上昇が認められた。 SH9細胞を両条件で24時間培養後, 各サンプルの細胞溶解液を調整してWestern blot法にてangiogenin,VEGF,RANKL,C/EBPβ,HIF-1αのタンパク発現量を測定したところ, 低酸素曝露によりいずれについてもタンパク発現レベルの有意な上昇が確認された。 prolylhydroxylaseの阻害剤であるdimethyloxaloylglycine(DMOG)を培養液に加えてSH9細胞を24時間通常培養したところ, Western blot法にてDMOG投与群でのHIF-1αタンパクの有意な上昇を確認した。続いて同条件にて培養したSH9細胞でのangiogenin,VEGF,RANKL,C/EBPβのmRNA発現を検討したところ, いずれもDMOG投与群で有意な上昇を認めた。
|