研究実績の概要 |
研究方法:1) 低酸素暴露したヒト乳歯由来歯根膜細胞でのmRNA発現解析 ヒト乳歯由来歯根膜細胞株SH9を使用して、通常条件(5% CO2, 95% air, 37℃)または低酸素条件(5% O2, 5% CO2, 37℃)で24時間培養しmRNAの抽出を行った。逆転写後にcDNAを抽出し、PrimerArrayにより半網羅的にmRNA発現の解析を行った。2) ゲノムDNAの調製およびDNAメチル化解析 SH9を使用して、通常条件(5% CO2, 95% air, 37℃)または低酸素条件( 5% O2, 5% CO2, 37℃)で24時間培養したのちゲノムDNAを回収した。回収したゲノムDNAについて、イルミナ社ビーズアレイを用いてDNAメチル化解析を行った。 成果:1) 低酸素培養がmRNA発現に及ぼす影響 PrimerArrayによるmRNA発現解析で、通常培養と比較した場合に低酸素培養した細胞で10倍以上の発現促進を認めた遺伝子は10個であった。2) 低酸素培養がDNAメチル化に及ぼす影響 低酸素培養条件でmRNAの発現促進を認めた遺伝子のうちの6個を含めて、イルミナ社ビーズアレイを用いて網羅的にDNAメチル化解析を行った。その結果、6個中3個の遺伝子についてはDNAの脱メチル化傾向が認められたが,残る3個についてはDNAのメチル化に変化はみられなかった。ビーズアレイ上にメチル化部位の配列が設定されているその他の遺伝子については、現在解析を継続している。3) 5% O2で24時間の培養という比較的マイルドな低酸素培養条件でも、複数の遺伝子のmRNA発現が促進されており、それらのうち約半数でゲノムDNAの脱メチル化が生じていることが明らかとなった。
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